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Z世代とは?特徴やほかの世代との違い・消費者行動について解説
X世代、Y世代、Z世代といった世代を指す呼称にはいくつか種類があり、中でもZ世代は1990年代後半〜2010年生まれの人を指す言葉です。マーケティング活動やZ世代の採用を行う場合は、Z世代の特徴を理解した上で商品やサービスのアプローチを行うことが効果的と言えます。
当記事では、Z世代やX世代、Y世代の特徴をはじめ、Z世代の消費者行動について詳しく解説します。Z世代の特徴を知りたい人や、効果的なマーケティングにつなげたいという人はぜひご覧ください。
1.Z世代とは?
Z世代に明確な定義はないものの、一般的には1990年代後半~2010年に生まれ、2022年現在で10~20代の人を指す言葉です。これから社会進出する人も多く、まさに今後の日本における中心世代になると言えます。
なおZ世代は、インターネットが利用できる時代に生まれ、日常的に使用してきていることから「デジタルネイティブ」とも言われます。
1-1.Z世代と呼ばれる理由
Z世代という言葉は、元々はアメリカで生まれました。アメリカでは、1960年代中盤~1970年代に生まれた人を「X世代」、1980~1990年中盤に生まれた人を「ミレニアル世代(Y世代)」と呼んでいます。Z世代は、X世代とY世代に続く世代として、Yの次にくるアルファベットの「Z」が用いられています。
そもそも「X世代」という言葉は、有名写真家のフォトエッセイ集「Generation X」に由来しているとされています。世代を指す言葉として少しずつ世界に広まり、今となっては日本でも定着するほど一般的な言葉になりました。
2.Z世代の特徴
Z世代は、これまでの世代とは異なるさまざまな特徴を持ちます。Z世代を対象にしたマーケティング活動やZ世代採用を行うのであれば、特徴を詳しく把握することが重要です。
Z世代ならではの傾向としては、下記のような一例があります。
- 性別で役割を決めつけない価値観を持っている
- 未来より現実を重視する
- 競争よりも人とのつながりを大切にする
- ワークライフバランスを重視する
ここでは、Z世代が持つ代表的な特徴について、詳しく解説します。
2-1.インターネットに強い
Z世代の多くは、幼少期から何らかの形でITに触れてきており、インターネットに強い特徴を持ちます。10代、あるいはそれ以前の早い時期からスマートフォンを持っていた人も、珍しくないでしょう。
そのため、Z世代の日常生活での情報収集の中心は、基本的にスマートフォンやパソコンなどのデジタル機器です。新聞や雑誌などのアナログ媒体で情報収集をする人もいますが、デジタル機器を活用する人に比べると少数派だと言えます。
2-2.多様な価値観を大切にする
仕事観や人間観などのあらゆる要素において、多様な価値観を尊重することも特徴の1つです。
インターネットが生活に根付いていることで、Z世代のコミュニケーションにおける中心的な存在はSNSになっています。SNSで不特定多数と交流する中でさまざまな意見や生き方に触れられることが、多様性を尊重する傾向に関係していると言われています。
SDGs(持続可能な開発目標)をはじめとした社会問題に触れる機会が多いことも、Z世代を取り巻く環境の1つです。自然環境や人種、貧困などについて考えることが増える中で、多様な価値観が形成されています。
2-3.効率を重視する
近年では、デジタル化によって日常生活や仕事における「ムダ」を手軽に排除できるようになっています。Z世代はインターネットを利用できる時代に生まれ、日頃から使用してきていることから、何事においても「効率性」を重視する傾向です。
例えば仕事において、「デジタルツールを導入して自動化させたほうが効率的だ」「ノンコア業務なのでアウトソーシングすべきだ」といったように、業務効率化を考えます。効率性を意識する姿勢を企業側がうまく引き出せられれば、生産性向上などのメリットを組織にもたらしてくれるでしょう。
2-4.承認欲求が強い
インターネット上で多様な人と接することができる一方で、不特定多数の人から注目される機会も増えています。そのため、Z世代は「自分はどう評価されているのだろう」「周囲から良く見られたい」のように、強い承認欲求が生まれやすい点も特徴です。
承認されることにばかり意識が向くと、批判を恐れ、「自分が何をしたいのか」「どう生きていきたいのか」など、自己を追求できなくなる可能性があります。これはほかの世代にも共通する要素ではあるものの、Z世代では特に強い傾向です。
2-5.社会問題や課題への関心が高い
社会問題や課題に対して、関心を持つ人が多いという特徴もあります。日本での東日本大震災や人口減少、世界的に見た地球温暖化など、ここ数年ではさまざまな社会問題が発生しています。日本に住んでいたら直接触れることの少ない「貧困」や「飢餓」といった問題についても、インターネット上で知れるようになりました。
実際に、企業選びにあたって、社会問題に対して企業がどのような取り組みをしているかを重視する求職者も少なくありません。
3.Z世代とほかの世代の違い
Z世代の特徴を明確にするために、ほかの世代との違いについても解説します。
生まれ年 | |
---|---|
X世代 | 1960年代中盤~1970年代 |
ミレニアル世代(Y世代) | 1980~1990年中盤 |
Z世代 | 1990年代後半~2010年 |
最近は、Z世代の次の世代として、2010年以降に生まれた人を指す「α(アルファ)世代」という言葉も用いられるようになっています。Z世代の「Z」はラテン文字で最後にあたるため、ギリシャ文字における最初の文字「α」を新しい時代の到来をイメージして考案されたと言います。
ここでは、Z世代がX世代、Y世代とどのように違うのかを具体的に解説します。
3-1.X世代との違い
X世代は、社会がアナログからデジタルに移り変わる時代を生きてきた世代であり、個人差はあるものの、今でも両方の媒体を使って情報収集する人が多い傾向です。生活する中でインターネットが浸透してきたので、柔軟に適応する力は高いと言えます。X世代の生まれ年である1960年代中旬から1970年代にテレビが爆発的に普及したため、娯楽への関心が大きい世代であることも特徴です。
なお、当時活発化していた学生運動が沈静化した時代であることから政治的関心が小さく、「しらけ世代」と言われるケースもあります。
3-2.ミレニアル世代(Y世代)との違い
Y世代は、10代、20代で携帯電話やスマートフォンに触れてきた人が多く、デジタルを使いこなしている人が多いことが特徴です。ミレニアルは「新千年」という意味を持ち、Y世代は2000年代以降に社会進出した世代であることから、「ミレニアル世代」とも呼ばれています。
Z世代と同様にインターネットで情報収集をする人が多く、Y世代も「デジタルネイティブ」とする見方もあります。一方で、親世代がX世代、あるいはさらに前の世代であることから、雑誌や新聞を活用する人も少なくありません。
4.Z世代の消費者行動
マーケティングにおいてZ世代が注目されている大きな理由は、これからの社会活動の中心を担っていくので、企業の収益に大きな影響を与える存在となるためです。X世代やミレニアル世代とは違う消費者行動を取るので、従来のアプローチでは、商品やサービスを届けることが難しいと言えます。
ここでは、Z世代の消費者行動について、4つの特徴を紹介します。
4-1.コスパとタイパを重視する
Z世代は、費用あたりの効果を表す「コストパフォーマンス(コスパ)」を重視します。あくまで「自分にとって価値のあるものかどうか」が消費者行動の基準となり、「高いもの」に対する興味関心が小さいためです。
コスパだけでなく時間あたりの効果、いわゆる「タイムパフォーマンス(タイパ)」を重んじる傾向もあります。「1.5倍速で動画を視聴して1時間で多くの情報を得る」「家から遠くて安いスーパーより、自宅にいながら購入できるネットスーパーを使う」などが一例です。
4-2.情報収集を活発に行う
インターネット上で商品やサービスの説明・レビューなどを確認できることから、購買行動に移る前に情報収集を活発に行う特徴もあります。たとえば、飲食店を利用するにしても、ホームページやグルメサイトで店舗情報を確認したり、口コミサイトで評価を見たりして、比較検討の上で行先を決めます。
情報収集を活発に行う社会的背景には、Z世代は不況の中を生きてきているため、消費者行動に対して慎重であることが関係しています。承認欲求が強いために、消費者行動で失敗したくない気持ちがあることも考えられます。
4-3.自分らしさを優先する
多様な価値観を大切にできるということは、自分の価値観も大切にできるということです。そのため、Z世代の消費者行動は、「自分らしさ」を重視する人が多い傾向にあります。
値段やブランドではなく、「自分に合っているか」「独自性があるか」を重視してモノを購入します。「モノ消費」よりも、自分の経験として積み重ねられる「コト消費」や「トキ消費」を重視する人が少なくありません。
4-4.体験や共感に重きを置く
Z世代は、目に見えない体験に対して消費者行動を取る傾向があります。旅行や自然体験、スポーツ、演劇鑑賞などが一例であり、これらは「コト消費」と言われます。
最近になって生まれた新たな消費者行動の価値観が、商品・サービスの持つ社会貢献度や開発された背景などに共感する「イミ消費」です。Z世代がイミ消費を行うのは、SDGsやフェアトレードなどの社会課題に対して強い関心を持っているためだと考えられます。
5.Z世代に向けたマーケティングのポイント
Z世代向けのマーケティングにおいてまず押さえるべきなのが、Z世代が「デジタルネイティブ」「スマホ世代」であることです。
Z世代は、SNSやYouTubeなど能動的に視聴できるコンテンツで情報収集をするため、基本的に自分たちが欲しい情報だけをピックアップします。ブランドに価値を見出さず、自分にとって価値があるものには惜しまずにお金を使う傾向です。
ここでは、Z世代に向けたマーケティングのポイントを解説します。
5-1.デジタルコンテンツを活用する
基本的なポイントとして押さえるべき点が、デジタルコンテンツを活用することです。SNSやオウンドメディアなどを用いてマーケティングを進めると、紙媒体をはじめとしたアナログな方法よりも、高い効果を出しやすいと言えます。
ただし、デジタルコンテンツであっても、消費者から自社のことを認知してもらうには、継続的な発信活動が必要です。短期間で効果が出なくても、根気強く発信を続けることで、認知度が少しずつ高まります。
5-2.個性やパーソナリティを大切にする
Z世代に向けたマーケティングを意識するためには、自分らしさを重視するZ世代の傾向に合わせてマーケティングでも個性やパーソナリティを重視しましょう。全員に同じような価値を提供できる商品・サービスよりも、好みに応じてカスタマイズできるものや、複数の選択肢から選べるものが良いと言えます。
情報発信をする際は、ペルソナは設定しつつもターゲットの属性について限定するような発言はせず、自分らしさを追求できるような発信をすることがおすすめです。
5-3.商品の背景や想いを伝える
商品・サービスの料金や概要だけでなく、背景や想いを伝えることもポイントです。「なぜこの商品が生み出されたのか」「このサービスを通して、社会にどのような影響を与えたいのか」などに共感できるかが、Z世代の消費行動につながります。
背景や想いを伝えるにあたっては、商品・サービスのページに記載するほか、自社ホームページにも掲載するとよいでしょう。情報はできるだけ具体的に、包み隠さずリアルな内容を伝えることで、共感を獲得しやすくなります。
5-4.体験を提供する
オンラインでのコミュニケーションが主流になっているからこそ、リアルな体験を伴うマーケティングの重要性も高まっています。
商品・サービス自体を、旅行やスポーツなどの体験を伴うものにすることも効果的とはいえ、モノを売る場合でも体験の提供は可能です。たとえば、服を買おうとしている人の要望を聞き丁寧に接客した上で購入してもらえば、顧客にとっては貴重な体験となります。自分たちならではの体験を提供できれば、Z世代にとっては、その商品・サービスを選ぶ大きな理由になるでしょう。
6.Z世代へ向けた訴求で注意したいこと
Z世代はデジタルネイティブであり、SNSを日常的に使用しています。そのため、Z世代に向けて訴求を行う際は、SNSを効果的に使用することが重要です。Z世代に有効なSNSとしては、下記が挙げられます。
- YouTube
- TikTok
ここでは、SNSも活用しながらZ世代に訴求を行う際に、気を付けるべきポイントを3つ紹介します。
6-1.インフルエンサー起用では互いに意図と理解を深める
インフルエンサーにPRを依頼する場合、お互いの意図や理解を擦り合わせましょう。
大きな発信力や拡散力を持つインフルエンサーを起用することは、商品・サービスのPRや自社の認知度アップに効果的です。一方で、影響力が大きいがゆえに、事実ではない発信をすると、誤ったイメージを多くの人に持たせることになります。また、SNSが日常生活に浸透している中で、インフルエンサーと言えど、ユーザーの心を動かすことは簡単ではありません。
自社のことはもちろん、依頼する背景や目的まで具体的に説明し、インフルエンサーの理解を得た時点で発信してもらうとよいでしょう。
6-2.Z世代全体に向けた訴求施策を考える
一口にZ世代と言っても、1990年代後半~2010年を指すため、最初と最後では10年以上も離れています。スマートフォンやパソコンに触れ始めた年齢にも差があり、同じZ世代でも価値観は多少異なります。
そのため、「Z世代」と一元的にターゲットを絞らず、年齢ごとの考え方や行動の取り方を把握した上で、訴求施策を考えることが重要です。結果的に、自社が取るマーケティング施策とのミスマッチが減り、効果が広く行き届くようになります。
6-3.商品開発の裏側を伝える
商品開発の裏側について、具体的に伝えることがZ世代へのアプローチとして効果的です。反対に言うと、裏側まで伝えないと、商品・サービスに対して関心を抱いてもらえない可能性があります。Z世代は、インターネットに慣れ親しんだ生活を送る中で、フェイク情報やPR活動に囲まれてきました。
開発のストーリーについて、努力してきたことや苦労したことなども交えて、リアルな様子を伝えるとよいでしょう。開発者や企業の想いを加えると、よりZ世代の共感を得られるようになります。
商品が生まれた過程を知ることは共感の獲得だけでなく、自社の信頼性を高める効果も期待できます。
まとめ
Z世代とは1990年代後半~2010年に生まれた10~20代の人を指す言葉であり、ワークライフバランスを重視したり多様な価値観を大切にしたりする傾向があります。今後社会活動の中心を担っていく存在として注目されているため、企業はZ世代の消費者行動にあてはまる特徴を把握し、商品・サービスのPRに生かすことが大切です。
Z世代へ向けた訴求では、世代全体に向けた訴求施策を考えることが重要であり、商品開発の裏側まで具体的に伝えるよう工夫しましょう。
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