採用マーケティングとは?実施方法やメリット・必要性を解説

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採用マーケティングとは?実施方法やメリット・必要性を解説

採用に関わる企業の担当者の中には、「採用マーケティング」という言葉を耳にしたことがある方もいるでしょう。近年注目を集める採用マーケティングは、効果的な採用を行うために有効な手法です。

当記事では、採用マーケティングの概要を解説するとともに、実施する際の流れを説明します。採用マーケティングによって、ミスマッチを防げたり、採用コスト削減につながったりするため、効率よく採用を行いたい方はぜひ参考にしてください。

1.採用マーケティングとは?

採用マーケティングとは、採用にマーケティングの概念を取り入れることです。求職者が求人情報を探すとき、商品やサービスを購入者が選ぶ場合と同じプロセスを辿ります。購入者に対して認知度向上のためのマーケティングを行うように、採用活動においてもマーケティングの考え方や手法が取り入れられるようになりました。

マーケティングは自社の商品やサービスを認知してもらうだけでなく、ユーザーの要望を把握する目的でも行われます。マーケティングの手法を採用活動に取り入れると、ユーザーにあたる求職者が企業に求めることを把握して、施策に反映させられます。

採用マーケティングを行うには、採用ブランディングに対する理解も必要です。採用ブランディングとは、求職者に魅力的な職場であることを知ってもらうために行う、自社のブランド化です。

自社の認知度向上を目指す上で、ブランド化は欠かせません。ブランド化を行うと、自社に対する信頼や共通のポジティブなイメージを構築して他社と差別化をはかれるため、採用時にも有利になります。

採用マーケティング・採用ブランディングは、求職者に自社のファンとなってもらい、最終的に入社してもらうことが目的です。求職者は同時に複数の企業へ応募している場合が多く、内定を出しても必ずしも入社してくれるとは限りません。

多くの競合の中から自社を選んでもらうには、会社のブランドイメージ向上が重要です。採用マーケティングの前段階として、採用ブランディングも行う必要があります。

2.採用マーケティングのファネルとチャネル

自社に合う優秀な人材を獲得するにはスピーディーな採用活動が欠かせません。採用マーケティングを効果的に行うには、大前提として「ファネル」と「チャネル」を理解することが求められます。

採用活動における「ファネル」と「チャネル」について、それぞれの特徴や活用方法を解説します。

2-1.採用ファネルとは?

ファネルは、もともとマーケティング用語として知られています。集客して形成した見込み顧客の母数が、検討や商談、契約と段階を踏んでいくごとに減少する様子を図式化したものです。

採用ファネルに当てはめると、入社までの流れは5つのフェーズに分けられます。

  • 認知
    自社の存在を知らない潜在層にアピールして、認知してもらうためのフェーズです。現在転職活動を行っていない層に対しても各種メディアでアプローチすることで、潜在層の認知拡大も期待できます。
  • 興味・関心
    求職者が応募先を決めるときの候補に自社を加えてもらえるように、興味・関心を高める施策を行います。求職者がどのような手法で自社に関する情報収集を行うか想定して、SNSなど外部サービスも活用したアピールが必要です。
  • 応募
    求職者の中に芽生えた自社に対する興味・関心を高めて、応募に誘導するフェーズです。社員のインタビューや業務を紹介する動画など、入社後の姿をイメージしやすい情報を提供し、自社への応募を促します。
  • 選考
    採用活動を行いつつ、応募者の入社意欲を高める施策も求められます。社内イベントに招待したり社内見学を行ったりと、先輩社員とコミュニケーションをとれる場を設けることも重要です。
  • 入社
    内定後は辞退されないよう、応募時のモチベーションを維持するコミュニケーションが欠かせません。こまめに連絡をとるなど内定者サポートを行い、入社へ進めます。

上記のフェーズを終えた入社後も、早期離職を避けるためにエンゲージメント向上につながる施策が必要です。

2-2.採用チャネルとは?

マーケティング用語におけるチャネルとは、集客時の流入経路となる各種媒体です。採用チャネルは、自社の情報や採用について伝える手段をさします。

採用チャネルは求人広告など公募型の他、転職エージェントや派遣会社を利用した人材紹介、人材へ直接アプローチするダイレクトリクルーティングがあげられます。リファラル採用やSNSも、採用チャネルの一部です。

採用チャネルは、1つに絞る必要はありません。複数利用することをオムニチャネルと呼び、幅広い採用活動が行える点がメリットです。

3.採用マーケティングが必要な理由

効率的に優秀な人材を獲得するための方法として、採用マーケティングは近年注目を集めています。従来の方法では求職者が集まりにくい企業も、採用マーケティングでターゲット層を絞ったアプローチなら自社に適した人材を見つけられます。

採用マーケティングが多くの企業から注目を集める理由は、主に4つです。

3-1.採用市場の変化

日本は少子高齢化が進み、年々、労働人口が減少し続けています。採用市場は売り手市場となり、企業側が人材を選んでいた状況から求職者側が応募先を選ぶ時代に変化しました。企業は今後、求職者に選んでもらえるよう、競合との違いや自社の価値をアピールする必要があります。

また、求職者の多くにキャリア観の変化もみられ、雇用の形も変化しつつあります。たとえば近年多くの新卒から注目を集めている雇用方法の1つが、あらかじめ職務内容を明確にしたジョブ型雇用です。

採用マーケティングを行うと、配属先を重視する新卒のニーズや社会情勢の変化も考慮した採用計画が立てられます。

3-2.採用手法の変化

従来よりも採用手法が多様化しているのも、採用マーケティングが必要とされる理由です。多くの採用方法が取り入れられている要因として、人手不足の深刻化や求職者の減少による採用難があげられます。

募集しても応募者が集まりにくい状況の中、企業は自社が望む人材を効率的に見つけなくてはなりません。競合から人材を勝ち取るために企業が多くの策を講じた結果、採用手法の多様化につながりました。

特徴的な採用手法としてあげられるのは、たとえばダイレクトリクルーティングやリファラル採用です。求職者に直接アプローチしたり、既存の社員に人材を紹介してもらったりと、応募を待つだけではない人材採用も行われています。

どのような手法を行うか選択するためにも、採用マーケティングによる分析が必要です。

3-3.新卒採用の長期化

新卒採用が早めに開始されたり、通年採用の導入を検討したりする企業が増えたことにより、新卒採用の長期化が起こっています。

採用活動の長期化は、内定辞退やミスマッチのリスクの増加につながります。優秀な学生を獲得できたと思っても、入社日までの間に他社へ流れる危険が高まるためです。

一方で、採用活動の長期化は留学経験者を確保できるメリットももっています。採用マーケティングで他社や求職者の動向を探りつつ、自社が望む人材の確保を目指すことが重要です。

3-4.デジタルマーケティングの進化

デジタルマーケティングの急速な発達も、採用活動に影響を与えました。デジタルマーケティングとは、ウェブサイトや検索エンジン、SNSなどデジタルテクノロジーを活用した手法のことです。

ユーザーが新たに情報収集するとき、スマートフォンなどのモバイル端末を活用するケースが増え、デジタルマーケティングが重視されるようになりました。インターネット上の口コミなどオウンドメディア以外の媒体が発した情報も、ユーザーの行動に影響を与えます。

多くの情報が入り乱れる中で狙った人材を獲得するには、ターゲットにリーチできる方法で情報を発信することが重要です。商品やサービスの販売のみならず、採用においてもデジタルマーケティングが有効活用できます。

4.採用マーケティングを行うメリット

近年は人手不足や求職者減少などによって売り手市場が続いています。多くの課題が生じている現代において、採用マーケティングはさまざまなメリットが期待できる手法です。

採用マーケティングの導入がもたらすメリットは、3つ挙げられます。採用マーケティングによるそれぞれのメリットについて解説します。

4-1.必要な人材からの応募が見込める

採用マーケティングは、自社が求める人材に対して積極的にアプローチできることが最大の特徴です。

求人情報を公開して応募を待つのみの方法は、想定していないタイプの人材が選考に含まれる可能性もあります。採用したいと考えている人材へ割く時間が減り、十分なアプローチができないまま競合に人材を奪われてしまいかねません。

一方、採用マーケティングを行うことで、求める人材に攻めの姿勢でアピールできます。募集時からターゲット層を絞り込んだアプローチを行えるため、自社が求めるタイプの人材が応募してくれる確率は高くなります。

4-2.ミスマッチを防げる

特定のターゲット層へ積極的にアプローチできる採用マーケティングは、入社後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。

人材と会社にミスマッチが起こる原因の1つは、認識のズレです。たとえば自社のアピールで「残業が少ない部署です」と記載していたとしても、採用担当者が考える残業量のイメージが応募者と同じとは限りません。認識をすり合わせないまま採用すると、入社後にトラブルに発展し、最悪の場合苦労して採用した人材が早期離職してしまいます。

ミスマッチを防ぐには、互いの認識にズレが生じないよう工夫することが重要です。ターゲット層のニーズを把握した上で情報発信できる、マーケティング手法や視点が求められます。

4-3.採用コストを抑えられる

採用マーケティングで効率よく採用を進めることで、コストの削減につながります。

採用コストは、大きく内部コストと外部コストの2種類に分類できます。内部コストは社内で発生する採用業務関連の費用、外部コストは各求人媒体への掲載料やエージェントに支払う報酬など、社外に支払う費用です。

採用マーケティングが不十分な状態で、応募者や紹介された人材とミスマッチを繰り返すと、コストは膨れ上がります。効果的な採用マーケティングを行い、自社で働くことに強い意欲をもつ人材を採用できれば、外部コストはかさみません。

5.採用マーケティングを実際に行うときの流れ

効果的に採用マーケティングを行うには、採用マーケティングの全体の流れを押さえることが重要です。手順を理解した上で取り組めば作業の抜け漏れを回避でき、採用マーケティングの効果を最大化できます。

ここでは採用マーケティングの手順について、5つのステップに分けて解説します。

5-1.自社の特徴を押さえる

採用マーケティングは、採用したい人材に対して自社の魅力を可能な限り多く伝える必要があります。そのためには、採用担当者が自社の魅力を正しく理解することが求められます。

まずは客観的に、自社の特徴を押さえましょう。応募者は自社の何に惹かれるのか、志望度の高低を分ける理由は何か、自社の強みや弱みを整理します。特徴の整理は、経営戦略の策定などで活用されるフレームワーク「SWOT分析」の活用がおすすめです。

SWOT分析とは、下記にあげる4つの視点から分析する方法です。

【SWOT分析】

  • 強み:Strength
  • 弱み:Weakness
  • 機会:Opportunity
  • 脅威:Threat

強みや弱み、ノウハウ、不足している経営資源など、SWOT分析の4つの視点にもとづいて整理しましょう。ポイントは、自社とともに競合他社の特徴も同じ手法で整理することです。競合と比較すると、より詳細を分析でき、採用施策のヒントを得られます。

5-2.ターゲットを決める

明確化した自社の特徴を参考に、ターゲットを絞り込みます。どのような人物を採用したいのか決めるときは、人材要件と人物像の2つの視点で考える方法がおすすめです。

人材要件とは配置したいポジション、求める能力や経験などをさします。求める能力などを書き出し、「必須条件」と「希望条件」に分けます。

書き出した条件のすべてを満たす人材を見つけることは、非常に困難です。しかし必須条件を優先して希望条件はある程度妥協すると、候補となる人材が見つかりやすくなります。

さらに絞り込むには、人物像も考慮しましょう。人物像はマーケティングなどで活用されるケースが多い、ペルソナ設定のことです。先に人物要件で候補者を大まかに絞ってからペルソナで選考すると、能力や経験の面でミスマッチが起こるリスクを軽減できます。

5-3.ターゲットのニーズを知る

採用マーケティングは、ターゲットとなる人材のニーズを考慮することも重要です。ターゲットが就職先に求める条件や環境、興味をもっている企業の特徴などを分析しましょう。

分析結果をもとにターゲットが求めている情報を発信すれば、自社に興味をもってもらいやすくなります。たとえば休暇など福利厚生を重視する傾向がある場合、どのような会社制度があるのか積極的にアピールするとよいでしょう。競合にない制度や自社が力を入れている取り組みは強調して、他社との差別化に活用します。

5-4.アプローチの仕方を検討する

求める人材に合わせて、適したアプローチ方法を選ぶことも重要です。新卒を募集する場合と、経験や能力重視で行う中途採用では、適したアプローチ方法は異なります。

採用マーケティングにおいては、自社の課題も考慮してアプローチ方法を検討する必要があります。従来の採用方法で思うように応募数を獲得できなかった場合は、アプローチ方法が適切ではない可能性が考えられます。

母数形成でつまずいたときの解決策は、たとえば採用サイトやSNSアカウントを作成して、自社の情報を詳しく掲載することです。人材要件を満たす求職者を探して、ダイレクトリクルーティングする選択肢もあります。

自社が抱える採用面の課題に応じた手法を試すことが、成功のカギです。

5-5.採用を実施する

採用を実施し、選考や内定通知を終えたら、入社のための手続きや採用に関する振り返りを行ないます。採用活動は、内定通知を行った後も多くの作業が残っています。

自社の強みや弱みの再確認、アプローチ方法や採用プロセスに問題はなかったかなど、採用活動の一連の流れを振り返りましょう。採用に使用した各媒体の集客率や応募数、辞退数など数値の他、経路など求職者の動向データも可能な限りスコア化して分析します。PDCAを回すことが、次回の採用活動におけるマッチング精度を高められます。

また、内定者の辞退を防ぐために、入社日までのフォローも重要です。困ったことはないか聞いたり、社内イベントなどで先輩社員と交流する機会を提供したりと、こまめなフォローが欠かせません。次回の採用戦略立案へ生かすためにも、内定者へのフォローは入念に行うのがポイントです。

まとめ

採用マーケティングは採用にもマーケティングの手法を取り入れて、求職者に選ばれるよう効果的な採用を目指すことをいいます。近年は採用市場や採用手法に変化が見られ、採用が難しくなっているため、戦略的に採用マーケティングを行うことが大切です。

採用マーケティングを行う際は、自社の特徴やターゲットである求職者について深く分析をする必要があります。採用を実施している最中も、求職者や内定者へのフォローをしっかり行いましょう。

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