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オンボーディングとは?設計プロセスとコツに加えて3つの事例も紹介
人手不足が叫ばれている現在、「従業員の離職を少しでも減らしたい」と考える経営者や人事担当者は多いでしょう。そういった考えに対する解決策が、オンボーディングの実施です。オンボーディングは有名企業などで導入されており、取り組むことで得られる効果やメリットが多くあります。
当記事では、オンボーディングの概要や取り組むメリット、設計プロセスや具体的な事例などについて解説します。オンボーディングについて詳しく把握し、モチベーションを高く保った従業員を増やしましょう。
1.オンボーディングとは?
オンボーディングとは、新規採用した従業員に行う総合的な教育・人材育成プログラムです。新卒者だけではなく、中途採用者も対象となります。
入社した従業員は、ゼロから人間関係を構築しつつ企業文化や職場独自のルールを理解し、業務を覚えなければなりません。多くのハードルをうまく越えられるよう、従業員を支援する取り組みがオンボーディングです。
オンボーディングにより、従業員は早くから職場になじめる上、能力を発揮できるようになります。従業員をすぐに戦力に育てられる点が、多くの企業がオンボーディングを重視する理由です。なお、SaaS領域で使われるオンボーディングは意味が異なります。当記事では人事領域で使われるケースについて解説します。
1-1.オンボーディングに取り組むメリット・期待される効果
オンボーディングは従業員だけでなく企業にとっても、さまざまなメリットやよい効果が期待できる取り組みです。メリット・効果の例は以下の通りです。
- チームのパフォーマンス力向上
新入社員が職場やチームになじむことでスムーズな意思疎通が可能になり、全体のパフォーマンス向上につながります。結果的に生産性の向上も期待できるでしょう。 - エンゲージメントの向上
早い段階から実力を発揮して評価されると、新入社員のエンゲージメントやモチベーションの向上が期待できます。 - 新規採用した従業員の早期離職防止
職場になじめないなどの理由で、新入社員が短期間で離職するケースは多くあります。オンボーディングによって新入社員がスムーズに職場に溶け込み、長期的な活躍を期待できます。
2.【STEP別】オンボーディングの設計プロセス
オンボーディングを実施する場合は、期待する効果がきちんと得られるよう下記の4つの設計プロセスを踏まえましょう。
- 1:目的を決める
- 2:環境を整える
- 3:プランを作成して実施する
- 4:必要に応じてプランを見直す
ここでは、それぞれの設計プロセスの詳細を解説します。
2-1.【STEP1】目的を決める
まずは、オンボーディングを行う目的を設定します。目的があいまいであれば、ゴールに向けての明確な道筋を立てられません。よくある目的の例は下記の通りです。
- いつまでにどのような知識・スキルを身につけさせるか
- 新入社員にどのような人材として育ってほしいのか
目的を明示することで、どのような研修や教育を行えばよいかが見えてきます。プログラムには業務知識や技術の指導だけでなく、企業の価値観の共有も含めるようにしましょう。
2-2.【STEP2】環境を整える
次に、教育環境を整えます。まずは、社内でどのような研修制度を導入しているのか把握しましょう。たとえば、メンター制度や1on1ミーティング、OJT制度などが機能しているのであればオンボーディングに利用できます。
オンボーディングでは、既存メンバーと新入社員が密なコミュニケーションを取ることがポイントです。社内ポータルやWeb会議システム、チャットツールなどITツールの導入状況を確かめた上で、使えるものを選択しうまく組み合わせて活用しましょう。
2-3.【STEP3】プランを作成して実施する
環境を整えた後は、具体的なプランの作成に入ります。効果的なプラン作成のポイントは、スタートしてから1週間後・1か月後・半年後などで期間を区切り、スパンごとに到達すべき具体的な目標を設定することです。
期間と目標が決まっていれば何をいつまでにするべきか分かりやすくなるため、従業員のモチベーション維持にもつながるでしょう。プランが完成したら実施しますが、振り返りを行うため進捗状況は記録してください。
2-4.【STEP4】必要に応じてプランを見直す
作成したプランは、定期的に振り返りを行うことが大切です。プランの実施中でも新入社員とのミーティングを行って意見を聞き、課題が見つかったときは速やかに見直しを行いましょう。「現行のプランでは課題解決に結びつかない」と感じた場合は、必要に応じて内容を変更することも1つの方法です。
また、オンボーディングの実施後には関わった従業員同士で評価を行うことも必要です。効果的な施策だったか、妥当なものだったかを検討することで、よりよい内容につながります。
3.オンボーディングの効果を高めるためのコツ3つ
オンボーディングの実施にあたっては、コツを押さえるとより高い成果が望めます。主なコツは以下の3つです。
・準備を徹底する
オンボーディングを成功させるためには、準備を徹底することが大切です。既存社員と方針やプランの内容を共有して必要な資料をそろえ、受け入れ態勢を整えましょう。
・人間関係がうまく構築できるようサポートする
すでに人間関係ができあがっている組織に後から加わる新入社員は、うまくなじめるか不安を感じていることも少なくありません。そのため、組織に属する各人の名前や役職を紹介して終わりにするのではなく、組織内での関係性やそれぞれの性格なども伝え、新入社員の人間関係構築をサポートしましょう。
・アウトプットの機会を用意する
指導するだけでなく、新入社員自らが考えて行動する機会を与えることも大切です。最初は小さな目標を掲げ、新入社員が成功体験を積み重ねられるよう配慮しましょう。
しかし、新入社員は今の自分に何ができるのか、どのような課題があるのか、自分自身で理解することは簡単ではありません。そのため、新入社員が自らを振り返る時間を作るとともに、指導者がきちんとフィードバックを行いましょう。
4.オンボーディングの事例3選
新入社員の即戦力化や離職率低下の防止など、さまざまな効果が期待できることから、多くの企業がオンボーディングを導入しています。
導入企業によってオンボーディングの内容には違いがありますが、実際の取り組みを見れば自社で実施する際の参考になるでしょう。ここでは、3つの導入事例を紹介します。
4-1.株式会社Voicy
株式会社Voicyは、入社前・入社日当日・入社後の3つの段階に区切り、以下のような内容のオンボーディングを実施しています。
【入社前】
- 内定社員の不安や疑問を払拭するため、チャットツールでいつでも質問できるようにする
- 既存社員のプロフィールカードや事前説明資料、社内報を配布し、会社について知ってもらう
【入社日】
- 社内ルールの説明を4時間かけて丁寧に行う
- メンバーからのメッセージを聞いてもらい、一緒にランチを取って交流の機会を提供する
【入社後】
- 一定のスパンで人事と面談を行い、じっくり対話して新入社員が抱える課題や問題の早期発見と解決を目指す
4-2.コネヒト株式会社
コネヒト株式会社は中途入社の社員を対象に、入社初日から3か月間にわたって全部で約30コマからなる「オンボーディングツアー」を実施しています。内容例は下記の通りです。
- 基本的な働き方のルールや福利厚生、評価や等級制度などの仕組みを説明する
- マネージャーとの振り返り面談を実施する
- コネヒトのビジョンや理念を理解してもらうため、ビジョンステートメントやバリューを紹介し、経営層との1on1ミーティングを実施する
- 全体ミーティングで中途採用の社員に自己紹介してもらい、各部門担当者から既存社員を紹介する
4-3.株式会社メルカリ
株式会社メルカリは、フルリモート体制の中でも以下のような施策を実施しています。
- 全社オリエンテーション後、CTOから組織の体制や現状の課題、将来の展望をプレゼンする
- オンボーディングポータルに必要な情報を集約し、いつでもアクセスできるようにする
- シニアエンジニアをメンターにし、すぐに現場で実務に取りかかれるようにする
- Google Meetでつながり、接点のあるメンバーと一緒にランチをする
- オンボーディングの進捗度合いを都度チェックし、状況に応じてサポートする
参考:mercan「「すべての新入社員に素晴らしいオンボーディング体験を」リモートオンボーディングを成功させる施策 #メルカリの日々」
まとめ
適切なオンボーディングを実施することで、企業は従業員の早期戦力化や離職の防止が期待できます。オンボーディングを実施するときは、明確な目的を設定した上でプランを設計しましょう。プラン内容は取り組みに関わるすべての社員で共有し、新入社員をサポートすることが大切です。
また、オンボーディングを適切に実施するためには、企業の理念や価値を社員に浸透させるインナーブランディングが不可欠です。
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