パーパスブランディングとは?パーパスの詳細について徹底解説!

パーパスブランディングとは?パーパスの詳細について徹底解説!

近年の企業経営において注目されているブランディングに「パーパスブランディング」があります。パーパスブランディングは、組織の多様化や働く意義の変化が進んでいる中で、重要性が高まっており、今後の企業成長に大きな影響を与える考え方です。

当記事では、「パーパス」自体の概要や決めるメリット、パーパスブランディングの効果などを解説します。パーパスブランディングに取り組む際の注意点など、実践的な内容も紹介するため、企業の価値を高めたいと考える経営層の方は、ぜひ参考にしてください。

1.「パーパス」とは?ビジョン・ミッション・経営理念との違い

パーパス(purpose)の意味は「意図」や「目的」であり、ビジネスにおいては、「企業の存在意義」のことを指します。「自分たちはなぜ存在するのか」「どのような役割を果たしているのか」のように、社会における自社のあり方について、根本的な考えがパーパスです。

パーパスと間違われやすい言葉に「ビジョン」「ミッション」「経営理念」があります。明確な定義はないものの、一般的にはそれぞれ下記の意味で使われます。

ビジョン 自分たちが目指している姿・場所
ミッション パーパスやビジョンの実現のためにすべきこと
経営理念 経営の軸となる考え方

パーパスは、ビジョンやミッションの根幹となる概念でもあり、経営理念と近い意味を持ちます。似ている言葉と混同しないよう、それぞれの意味も理解することがおすすめです。

1-1.パーパスが重要視されている理由

パーパスが注目されている背景には、時代的な変化が影響しています。特に大きな理由は、下記の3つです。

●組織の多様化

近年は、転職が当たり前になっていることで、日本に古くから浸透していた終身雇用制度が通用しない場面も増え、組織の多様化が進んでいます。さまざまな価値観やバックグラウンドを持つ人が増えれば、その分一体となって活動することは難しくなります。同じ目的に向かって仕事に取り組むためには、企業にとっての「道しるべ」とも言えるパーパスの明確化と共有が必要です。

●働く意義の変化

1980年代序盤以降に生まれた世代は「ミレニアル世代」と呼ばれ、これからの企業を支える中心となる存在です。ミレニアル世代は、就職先に求めるものとして「待遇」や「企業規模」などよりも、「やりがい」や「成長の機会を得られること」などを挙げる人が多い傾向です。ミレニアル世代の価値観に応えて、優秀な人材を獲得するために、パーパスが注目されています。

●DXの推進

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進により、企業にはデジタル技術を活用した変革が求められています。組織の根幹を変えるような革新的な取り組みを行う上では、従業員の理解が欠かせません。経営層だけの判断でDXを進めてしまうと、組織に混乱を招く恐れがあります。企業の根底にあるパーパスの見直しを行えば、組織で足並みをそろえてDXを進めることが可能です。

1-2.パーパスを決めるメリット

パーパスを決める重要性をイメージするためには、メリットを理解することが重要です。パーパスを決めることで、企業には主に下記3つのメリットがあります。

●スピーディーかつ最適な意思決定につながる

企業が事業を推進するにあたって、パーパスは方向性や取り組みを決める際の基準となります。そのため、パーパスが組織内に浸透していれば、スピーディーかつ自社にとって最適な意思決定を行うことが可能です。パーパスを決める際は、従業員への共有もセットで考え、社内で共通認識している状態を作りましょう。

●従業員エンゲージメントが高まる

従業員エンゲージメントとは、自社の従業員が持つ企業への愛着心のことです。パーパスを定めることで、自社で働く意義が明確になり、従業員エンゲージメントが高まりやすくなります。結果として、生産性向上や離職率低下などの副次的なメリットも期待できます。

●ステークホルダーからの支持が高まる

パーパスを決めることは、ステークホルダーからの支持向上にもつながります。パーパスを明確にすると、外部からの理解を得られるようになり、共感を高めやすくなるためです。ステークホルダーは企業成長において大きな影響力を持つため、パーパスを通して共感を得られれば、安定した成長が期待できるようになります。

2.パーパスブランディングとは?

パーパスブランディングとは、自社の存在意義を伝えることで共感を集め、世間の認知度向上や支持者の増加につなげる手法を指します。通常のブランディングは、企業や商品、サービスの価値を伝える方法が一般的であるため、パーパスブランディングとは異なる手法です。

ここからは、パーパスブランディングの効果や、実際に取り組む際の注意点を紹介します。

2-1.パーパスブランディングの効果

パーパスブランディングを実施すると、企業には多くの好影響があります。下記は、パーパスブランディングが生む効果の一例です。

●独自の価値を生み出すことができる

パーパスブランディングを通して、「自分たちの存在意義」をベースに社会と向き合うため、独自の価値を生み出しやすくなります。特に最近はSDGsの観点からも、企業が社会にどのような形で貢献しているかが重視されており、独自の価値を高めることは重要です。

●長期的に働いてくれる人材を獲得できる

パーパスブランディングは、事業推進だけでなく採用活動においても効果を発揮します。採用活動において、自社の存在意義と価値観が合う人材を獲得できれば、ミスマッチを防止でき、長期的な活躍を見込めるでしょう。パーパスに共感している状態での採用であれば、責任感や使命感を持って働いてくれる期待も高まります。

●顧客と長期的な関係性を築きやすくなる

顧客がパーパスに共感すれば、企業に対する信頼感も高まるため、長期的な関係を築くことができます。IT化やグローバル化などにより企業競争が激しくなっている近年、顧客との長期的な関係構築は、企業成長のためにも大切な要素です。

2-2.パーパスブランディングに取り組む際の注意点

実際にパーパスブランディングに取り組む際は、下記の2点に注意してください。

●ターゲットを絞らず社会全体に目を向ける

「パーパスに共感してくれるのは、こういう消費者だろう」などと、ターゲットを絞らないようにすることが大切です。パーパスは自社の社会的な存在意義を掲げるものであるため、最初からターゲットを限定してしまえば、共感される人も自ずと絞られてしまいます。社会全体に目を向けながらパーパスブランディングに取り組むことが重要です。

●具体的な取り組み内容を策定する

パーパスを掲げただけで満足し、実際の取り組みに落とし込めていないケースは少なくありません。パーパスブランディングでは、パーパスを果たすための具体的な施策を考え、実践してください。パーパスに対して行動が伴っていなければ、周囲からの信頼も生まれないため、共感を生む上でも、実際に行動することが大切です。

3.パーパスを決めるときに押さえたいポイント5選

パーパスを決める際には、「なぜ」という視点を持ち、自分たちのことを深掘りする作業が重要です。パーパスはビジョンやミッションの根幹となるものでもあるため、自分たちに何度も質問を投げかけながら、明確にする必要があります。

ここでは、パーパスを決める際に押さえておくとよいポイントを、5つ紹介します。

3-1.利益を生み出せるかどうか

パーパスを決める際の大前提として、「利益を生み出せるかどうか」は重要です。利益を生み出さなければ企業として存続できず、もちろんパーパスの実現も難しいでしょう。

また、利益を生み出せないと、必然的に従業員の待遇も悪化してしまい、離職や生産性の低下につながってしまいます。組織が一体となってパーパスの実現に向かうためにも、利益につながる内容を決めることが大切です。

3-2.従業員のモチベーションアップにつながるか

パーパスは経営層の都合で決めず、従業員にとってモチベーションが高まる内容にすることがポイントです。従業員のモチベーションアップは、業務の生産性向上や、企業への定着といったさまざまなメリットを生みます。

モチベーションアップにつながるパーパスを決めるためには、従業員が「やりがい」や「誇り」を感じられるような内容にすることが重要です。経営層からの視点だけでなく、さまざまな従業員の視点に立った上で、パーパスを検討するとよいでしょう。

3-3.現実的な内容になっているか

パーパスが非現実的な内容になっていないか、本当に達成できる内容であるかにも注目してください。「自社の存在意義」と聞くと、「規模が大きい内容にしなければ」と大げさなパーパスにしてしまう場合があります。

現実離れしたパーパスは、経営に落とし込めない上に、従業員やステークホルダーからの理解も得られません。自社を客観視し、実現が想像できるような内容を意識することがポイントです。

3-4.社会問題への解決を提示できているか

パーパスは、社会問題を解決できる内容になっていることも重要です。一口に社会問題と言っても、地球温暖化や少子高齢化、環境汚染、児童虐待など、現状としてさまざまな問題が発生しています。

1つの企業ですべての社会問題解決を図ることは非現実的であるため、身近な社会問題を整理した上で、自社が解決に貢献できる内容をパーパスに盛り込んでください。身近な社会問題を取り上げることで、従業員をはじめとした周囲の共感も得やすくなります。

3-5.アイデンティティが含まれているか

パーパスには「自社らしさ」が求められることから、アイデンティティが含まれているかどうかもポイントです。世の中には多くの企業があるため、自社のアイデンティティを含めないでパーパスを決めてしまうと、他社に埋もれてしまい、周囲からも共感されにくくなります。

ただし、アイデンティティだけが全面に出ないよう注意が必要です。パーパスを決める目的の1つは「社会をより良くすること」であるため、社会のニーズと自社のアイデンティティのバランスを考えて決めてください。

4.パーパス経営に取り組む際の流れとは?

パーパス経営に取り組む際には、あらかじめ流れを想定した上で、計画的に実施することが重要です。パーパス経営は、一般的には下記の流れで取り組みます。

【パーパス経営の流れ】

  1. 1 パーパスを策定する
  2. 2 パーパスステートメントを用意する
  3. 3 パーパスステートメントを実行する

ここでは、それぞれのステップで取り組むべき具体的な内容を解説します。

4-1.パーパスを策定する

まずは大前提として、自社のパーパスを策定します。パーパスを明確にする際に大切なのは、社会課題を解決するにあたって「自社はなぜ存在しているのか」を考えることです。「社会にどのような価値を提供できるのか」「何を実施できるのか」など、自分たちに何度も疑問を投げかけながら深掘りすると、存在意義が見えます。

パーパスを策定する段階で、「利益を生み出せるか」「現実的な内容か」などの注意点も意識してください。

4-2.パーパスステートメントを用意する

策定したパーパスを元に、パーパスステートメントを用意します。パーパスステートメントとは、自社が定めたパーパスを具体的にまとめた声明のことです。

パーパスステートメントを用意する際は、誰が見ても分かるよう、簡潔な言葉でまとめることがポイントです。見た人によって捉え方が変わってしまったり、内容が伝わらなかったりするパーパスステートメントだと、共感を得られない可能性が高くなります。

なくてもよい言葉は省き、一目見ただけで伝わるような、できるだけシンプルな内容にしてください。

4-3.パーパスステートメントを実行する

用意したパーパスステートメントを、企業として実行します。経営層が主導しながら、パーパスステートメントを基に事業推進や組織構築を行ってください。パーパスステートメントを実行するには関係部署との連携や周囲のサポートが欠かせないため、組織の体制を整備することも大切です。

また、パーパスステートメントを評価制度にも反映させ、必要に応じて待遇との連動を図ることや、人材確保に落とし込むことなども考える必要があります。

5.パーパスの事例5つ

世の中には、すでにパーパスブランディングを実行しており、よい方向に向かっている企業が多く存在します。自社がパーパスブランディングに取り組む際には、他社の事例を参考にすることが効果的です。

ここでは、パーパスブランディングを実施している有名な5つの企業について、事例を紹介します。

5-1.Amazon

世界中に顧客を抱えているAmazonでは、「地球上で最もお客様を大事にする企業」というパーパスを掲げています。パーパスを実現するために、Amazonでは、あらゆるものを低価格でオンライン販売することを実行してきました。

また、「Our Leadership Principles」という16項目を世界共通の信条としており、全員がリーダーである考え方を社内に浸透させている点も特徴的です。

参考:AWS「AWS カルチャー」

5-2.SONY

SONYのパーパスは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」です。SONYは、このパーパスの下、日本を代表する総合電機メーカーの1つとして、グローバルな活躍を見せています。

またSONYでは、バリュー(価値観)として「夢と好奇心」「多様性」「高潔さと誠実さ」「持続可能性」の4つを掲げています。

参考:SONY「Sony’sPurpose&Values」

5-3.サイバーエージェント

サイバーエージェントは、メディア運営やインターネット広告事業などを行っている企業です。2021年10月5日より「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」というパーパスを掲げています。

このパーパスを掲げた背景にあるのは、ESG投資やSDGsをはじめとした社会貢献に対する、世間の注目が高まっていることです。若年層の価値観が多様化する中で、企業として社会に貢献できることを考え、パーパスを設定しました。

参考:CyberAgentWay「パーパス「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」に込めた想い」

5-4.三井住友トラスト・ホールディングス

三井住友トラスト・ホールディングスの掲げるパーパスは、「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」です。銀行持株会社として顧客ファーストの考え方が全面に出ており、三井住友トラスト・ホールディングスならではのパーパスだと言えます。

ホームページではパーパスの他に、経営理念や目指す姿、行動規範についても記載しており、外部にも大々的に発信しています。

参考:三井住友トラスト・ホールディングス「経営理念」

5-5.ユニリーバ

ユニリーバは、イギリスに本社を置く、世界を代表する消費財メーカーです。ユニリーバのパーパスは「サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に」であり、サステナビリティをけん引する存在でありたい、という思いが込められています。

環境問題の解決にもつながるパーパスで、同時に消費財メーカーとしての立場も反映された内容です。ユニリーバでは、「パーパスを持つブランドは成長する」をはじめとした、パーパスに関する3つの信念を持っている点も特徴的です。

参考:ユニリーバ「地球と社会」

まとめ

ビジネスにおける「パーパス」とは、「企業の存在意義」を意味します。組織の多様化やDXが進む現代において、パーパスの重要性は高まっており、スピーディーな意思決定やエンゲージメント向上などのメリットもあります。

また「パーパスブランディング」とは、パーパスを伝えることで共感を高め、自社の支持者を増やす手法です。独自の価値創出や顧客との長期的な関係性構築などの効果があるため、注意点やポイントを踏まえて、自社での経営に役立ててください。

なお、ブランディングを実施する際は、外部の専門サービスを利用する方法もあります。多くの会社では、当記事で紹介したパーパスブランディングを含め、企業の価値を最大限に高めるブランディングの提案が可能です。相談は無料のことも多いため、自社に合う専門家を探し、問い合わせてみるとよいでしょう。

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