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企業理念とは?定める目的・メリットから浸透させる4つの方法まで
社会で長く愛される会社に成長するためには、企業の在り方や方向性を「企業理念」として明確にしておく必要があります。しかし、企業理念といっても、設定方法や設定した理念を組織に浸透させる方法などについて悩む場合があるかもしれません。
そこで今回は、企業理念を定める目的やメリット、理念を浸透させる方法などについて解説します。具体的な事例についても紹介しているため、企業理念を事業成長につなげる参考にしてください。
1.企業理念とは?掲げる重要性も
企業理念とは、企業の在り方や価値観を言語化したものです。企業として活動する目的、根幹にある大切な考え方を表すものとも定義できます。コンプライアンスやサステナビリティなどの社会的使命に加え、企業独自の観点から設定されているのが特徴です。
具体的な理念を定めることで、企業としての的確な意思決定が可能になったり、従業員の自律的な行動につながったりする効果が期待できます。
1-1.企業理念と「経営理念」の違い
企業理念とよく似た言葉に「経営理念」があります。企業理念が企業としての在り方や価値観を表すのに対し、経営理念は、経営者自身が思い描く経営ビジョンや大切にしている考え方・信条を明文化したものと定義されます。
2つの違いは、「変化のしやすさ」に注目すると明確です。「経営者の思い」が反映される経営理念は、経営者の交代や時代の移り変わりによって変化しやすい特徴を持ちます。一方、企業の存在意義を示す企業理念は、「企業活動の根幹」として基本的には創業より長期間受け継がれます。
なお、経営理念は、経営活動を進めていく上での判断・行動基準です。経営理念を掲げることで、経営者が持つ具体的な経営方針を共有できるため、従業員が日常業務における行動目標を持ちやすくなります。企業理念と合わせて設定することで、会社が進むべき方向性や日々の行動指針をより明確にできるでしょう。
2.企業理念を定める目的・メリット3つ
企業の在り方や価値観を企業理念として言語化すると、会社内外へのさまざまな良い影響が期待できます。企業理念を定めることには、具体的に以下のような目的・メリットがあるため、それぞれについて詳しく解説します。
- 社員が取るべき行動が明確になる
- 経営の軸になる
- 採用ブランディングにつながる
2-1.社員が取るべき行動が明確になる
企業理念には、企業の構成員が取るべき行動を明確にする「行動規範」としての役割があります。企業としての目標やミッションを達成していくためには、「企業が目指す方向性」や「そのために社員・従業員がやるべきこと」を分かりやすく示すことが欠かせません。
企業としての在り方や価値観を表す企業理念が浸透すると、同一の価値観や目標のもと、それぞれの社員・従業員が自主的に行動できるようになります。一人ひとりが自律して行動することで自然と組織力も高まり、企業のビジョンも実現しやすくなるでしょう。
2-2.経営の軸になる
企業経営は常に順調に進むとは言い切れず、場合によっては判断に迷うトラブルや難しい問題に直面することもあります。そんな時、企業としての判断基準や方向性が決まっていないと、大切な判断を誤るかもしれません。
このような重要な場面における軸(意思決定の判断基準)となるのが企業理念です。企業が進む方向性を具体的に明文化しておくことで、問題に直面した際にも議論を円滑に進め、正しい判断ができるでしょう。企業理念を実践してくれる社員や従業員が増えることで、企業のビジョンも達成しやすくなります。
2-3.採用ブランディングにつながる
企業理念を社外に発信することで、企業情報を多くの人にアピールできます。特に企業姿勢や思いを広く伝えることは、新規顧客の獲得や事業領域の拡大だけではなく、採用ブランディングにおいても有効です。
採用ブランディングとは、人材採用において自社の強みや魅力といった情報を発信し、求職者からの共感や信頼を集める戦略のことです。企業理念をベースに採用コンセプトを考え、企業が思い描く未来を求職者に伝えることで、自社のファンや価値観が近い人材を獲得しやすくなります。
3.企業理念を浸透させる方法4選
企業理念にはさまざまなメリットがありますが、すべてが良い影響をもたらす訳ではありません。良い企業理念の条件として押さえておきたいポイントは、次の通りです。
- 自社の価値観や特徴に合っている
- 企業の在り方が示されている
- 内容が理解しやすく、覚えやすい
- 社会貢献や今後の成長についての文言が含まれている
- 事業戦略を考えるヒントが含まれている
企業理念は、社員や従業員に浸透して初めて機能するため、特に「内容が分かりやすく、覚えやすい」ことが大切です。ここでは、企業理念の浸透方法について詳しく解説します。
3-1.自社の状況に合う目標を設定する
企業理念を定める際には、会社の未来を見据えて、目標を設定することが大切です。しかし、大きすぎる目標設定は、社員や従業員の共感を得られず逆効果になる場合があります。
そこで重要なのが、自社の現状や特徴を踏まえたビジョンを掲げ、社員を置き去りにしない企業理念を設定することです。自社にマッチしたビジョンは社内に浸透しやすく、社員や従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。
3-2.研修で理念について伝える
日常業務の合間に、社員が自ら企業理念について考えるのは簡単ではありません。企業理念を社内に浸透させるためには、社内の人材に対して企業理念について伝える機会を持つことが大切です。
例えば、業務を圧迫せずに理念の浸透を図るために、あらかじめ設定されている「研修」に企業理念を伝えるカリキュラムを盛り込むことも有効です。設定された時間の中で、企業理念についての理解を深めることは、日常業務の中で社員自らが取るべき姿勢や行動、目標を再確認する機会になるでしょう。
3-3.理念を日常的に触れられる環境を用意する
人間の記憶はどうしても時間とともに薄れてしまうため、社内における企業理念の浸透を目指して、社員・従業員が日常的に理念へ触れる機会を設けることも大切です。例えば、従業員同士で読み合わせをしたり、オフィスに掲示したりといった方法が挙げられます。
他にも、企業理念が掲載されたパンフレットやチラシを定期的に配布することで、社員・従業員が企業理念について考える場面を増やすことができます。企業規模が大きい場合や新規企業などは、社内全体に理念が浸透するまでに時間や労力が必要なため、特に「日常的に理念を意識できる環境」の整備が欠かせません。社員にとってなるべく負担が少ない方法で、企業理念に日々触れられる環境を用意しましょう。
3-4.企業理念に合った制度を用意する
企業理念について考え、実践する環境を整えるだけではなく、理念の実践具合を評価する仕組みづくりも大切です。具体的には、理念を体現できている社員や従業員を表彰する方法が挙げられます。
また、企業理念の内容によっては、理念の実践具合を人事評価項目に加えることも有効です。理念が体現できているかを可視化する評価制度を整えることで、社員一人ひとりのモチベーションが高まり、社内において企業理念をより浸透させられるでしょう。
4.企業理念の事例3選
【TOYOTA】
- 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
- 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
- クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
- 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
- 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
- グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
- 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
引用:TOYOTA「基本理念」/引用日2022/04/22
日本を代表する企業の1つであるTOYOTAは、1992年に「トヨタ基本理念」を策定しました。グローバル企業としての企業風土に加え、企業の社会的責任や共存共栄などの視点から、ビジョンが明文化されています。
【LAWSON】
- グループ理念
私たちは”みんなと暮らすマチ”を幸せにします。- ビジョン
目指すは、マチの“ほっと”ステーション。- ローソンWAY
- マチ一番の笑顔あふれるお店をつくろう。
- アイデアを声に出して、行動しよう。
- チャレンジを、楽しもう。
- 仲間を想い、ひとつになろう。
- 誠実でいよう。
引用:LAWSON「グループ理念・ビジョン・ローソンWAY」/引用日2022/04/22
アメリカで誕生したLAWSONは、1975年6月14日に1号店となる「桜塚店」(大阪府豊中市南桜塚)を日本で初めてオープンしました。企業グループの理念やビジョンには、マチのみんなや仲間を「ほっと」幸せにするという、一貫した志が示されています。
【味の素】
私たちは地球的な視野にたち、“食”と“健康”、そして、“いのち”のために働き、明日のよりよい生活に貢献します。
引用:味の素株式会社「味の素グループの目指す姿」/引用日2022/04/22
味の素グループは、100年以上の長い歴史を持つ「食と健康の課題解決企業」で、「おいしく食べて健康づくり」という志を掲げて創業しました。グループとして永久的に追求していく存在意義や使命として、上記のミッションを掲げています。
まとめ
企業理念を定めることには、さまざまな目的・メリットがありますが、良い企業理念にするためのポイントや理念を浸透させるための注意点も押さえる必要があります。変化が激しい現代社会で長く愛される企業に成長できるよう、自社や社員に合った企業理念の設定や実践、評価の仕組みをつくることが大切です。
株式会社イマジナでは、「人を活かす」ための企業ブランディングの提案が行われています。人材成長の仕組みづくりや採用ブランディングなどを強化したい場合には、一度相談してみるとよいでしょう。
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