強い組織はどう作る?押さえておきたい5つの原則と4つの条件

経営

強い組織はどう作る?押さえておきたい5つの原則と4つの条件

企業の成長・存続には、組織力の強さが不可欠です。個々の能力の高さも大切ですが、組織として機能したときに力が発揮できないような環境では、強い組織であるとは言えません。

組織力の強化は企業の成長を押し上げるだけでなく、従業員のパフォーマンスやモチベーションの向上にもつながります。

当記事では、強い組織を作るために押さえるべき5つの原則と4つの条件、具体的な施策について紹介します。企業の経営や人事に携わる人は、ぜひ参考にしてください。

1.強い組織とは?

組織を作る目的は、団結力を高めて個人では成し得ないパフォーマンスを発揮することです。個人としてのスキルアップももちろん大切ですが、1つの目標に向かって団結することで大きな成果を上げられます。

強い組織とは、目標達成のために一丸となって取り組める組織を指します。この場合の「目標」は、企業理念であったり、事業計画における数値目標であったりとさまざまです。

能力の高い個人が集まって組織を作っても、それぞれの向いている方向が違えば組織としての目標を達成できません。大切なのは、組織の全員が同じゴールに向かって協力し合えることです。

1-1.強い組織と弱い組織の違い

強い組織と弱い組織の違いは、組織のトップから全体に向けて発信があった際に顕著に現れます。強い組織は、トップからの発信に対してできることは何かを自発的に考え、日々の業務に反映させようと行動します。

対して、弱い組織は発信を自分に関係のないこととして捉えるため、行動が変わることはありません。指示されたことをこなすのみで自主的に考えて行動できない組織は、強い組織であるとは言えないでしょう。

また、現代ではビジネス環境が日々大きく変化しており、先を見通すことが難しくなっています。さらに、働き方改革や新型コロナウイルスの影響によるテレワーク化で、従業員同士の連携も取りづらい状況です。

企業を取り巻く環境や時代の変化に柔軟に対応するには、強い組織であることが不可欠となります。

2.強い組織を作るために押さえるべき5つの原則

強い組織を作るためには、組織作りの基本原則に基づいて組織を構成することが大切です。

ここでは、組織作りの5つの原則について解説します。

専門化の原則組織内で業務の分業化を行い、生産性の向上を図る原則です。専門分野に特化したスキルを身に付けられるため、トラブルの減少にもつながります。仕事の成果が明確化されることで、責任感を持ちやすくなるのもメリットの1つです。
権限責任一致の原則それぞれの役割に対して与えられる権限と責任の重さを等しくする原則です。権限に対して責任が重すぎる場合は業務の遂行が難しく、モチベーションも低下します。責任に対して権限が重すぎる場合、職権濫用につながる恐れがあります。
統制範囲の原則管理者が抱える部下の人数を調整する原則です。抱えている部下の数が多すぎると管理が難しくなり、ミスが発生した際の対応が遅れます。管理者1人に対して部下を5〜10人に抑え、業務が効率よく進められるよう体制整備を行うのが重要です。
権限委譲の原則管理者の抱える仕事の一部を部下に委ね、管理者はイレギュラー業務に専念する原則です。部下に仕事を割り振る際には業務内容や目的を明確化し、双方の認識のずれをなくさなければなりません。また、管理者は必要以上の干渉を避け、ある程度は部下に判断を委ねることも大切です。
令統一性の原則業務上の指示を出す管理者1人に絞るという原則です。複数の上司から異なった指示を受けると混乱を招くだけでなく、確認作業などのタイムロスにもつながります。生産性の低下を防ぐためにも、指示を出す人を統一する必要があります。

3.強い組織を作るための条件4つ

強い組織を作るために整えるべき条件はいくつかありますが、特に重要な条件として下記の4つが挙げられます。

  • 企業理念を浸透させる
  • 組織としての目標を共有する
  • 従業員同士の信頼関係を構築する
  • リーダーシップに優れた従業員を育成する

以下では、それぞれの内容について詳しく解説します。

3-1.企業理念を浸透させる

研修などを通して企業理念を浸透させることは、強い組織作りの条件の中で最も重要です。企業理念は企業の目指す姿や理想の在り方を表しており、全員が共通の目標として認識しておかなければなりません。

企業理念が浸透している組織では、それぞれがその実現に向けて必要な役割を全うできます。組織全体で同じ方向を目指して業務に取り組むことで、パフォーマンスの向上にもつながります。

  

理念浸透とは?企業理念を浸透させるメリットと方法を解説

3-2.組織としての目標を共有する

企業理念と併せて組織としての目標を共有することで、自分が今何をすべきかを具体的に考えられます。

企業理念は組織全体の方向性を揃えるための抽象的な内容であることが多く、個人やチーム、部署として何をすればよいのかが想像しにくいです。組織の目標を掲げることで個人の目標も明確となり、日々の業務で常に目標を意識した取り組みができるでしょう。

3-3.従業員同士の信頼関係を構築する

強い組織を作るためには、従業員同士の信頼関係の構築が不可欠です。

コミュニケーションが円滑に取れる風通しのよい職場は、強い信頼関係の上に成り立ちます。部下が上司に対してもはっきりと意見を言えるような関係性でなければ、組織として大きな成果を生むことは難しいでしょう。

チームワークのよい組織で働くことは、従業員満足度の向上やパフォーマンスの底上げにもつながります。

3-4.リーダーシップに優れた従業員を育成する

強い組織には、リーダーシップに優れた強いリーダーが必要です。強いリーダーとは、単純に仕事ができる人を指すのではなく、部下のパフォーマンスを向上させてチームを目標達成に導ける人です。

リーダー育成の際には、主体的な意思決定を尊重することがコツです。間違った判断をしないよう手助けしたくなりますが、リーダーとしての自信をつけてもらうためにも、必要以上の介入は避けてアドバイスに留めきましょう。

4.【経営層・人事必見】強い組織を作る施策3選

強い組織を作る上では、従業員それぞれに主体性を持ってもらうことが重要です。主体性とは、業務に対する課題や原因、具体的な解決策を自身で考えて実践することを指します。

ここからは、強い組織を作るための施策を3つ紹介します。企業の経営や人事に携わっている人は、ぜひ参考にしてください。

4-1.組織構成を見直す

組織強化の第1歩として、現在のチームや部署がうまく機能しているかを見直し、必要があれば再編成するのが効果的です。

従業員同士の相性が悪いと、個々の能力が高い場合でも十分に力を発揮できません。また、成果を上げられない期間が続くと、全体の士気が下がる可能性があります。

従業員に個別でヒアリングを行うなどして、現場の声を取り入れながら見直しを図ることで、より効率的に成果を生み出せるチームとなるでしょう。

組織構築とは?組織の役割・基本型と導入すべき手法

組織改革とは?取り組むメリット・よくある課題・進め方を紹介

4-2.人事評価制度を見直す

人事評価の内容は、従業員のモチベーションに大きく影響します。正当な評価を受けられなければ、離職率の増加につながる可能性もあります。

人事評価制度を見直す際のポイントは、評価基準を明確にすることです。上司の主観による評価ではなく、誰もが納得できる理由に基づいた評価基準を定めましょう。

また、人事評価の回数や時期、プロセスが適切であるかどうかについても定期的に見直す必要があります。

4-3.定期的に1on1を実施する

1on1とは、管理者と部下が1対1で実施するミーティングを指します。1on1は部下の仕事に対する悩みを解決する場であり、人材育成や組織の活性化を狙った取り組みです。人事評価を目的とした面談とは異なるため、本音を話しやすいことが特徴です。

1on1の導入は、管理者と部下とのコミュニケーションを円滑化するだけでなく、双方の信頼関係を強くする効果も期待できます。

まとめ

強い組織とは、従業員が企業理念や目標をしっかりと理解して、主体的に行動できる組織を指します。企業を取り巻く環境の変化に負けない強い組織を作るためには、5つの原則と4つの条件を押さえた上で、具体的な施策を行う必要があります。

組織力強化に向けて取り組みを始めるにあたって、外部企業にサポートを依頼してみるのも一案です。株式会社イマジナなど、強い組織作りに欠かせない企業理念の浸透や人事評価制度の見直しなどのノウハウを提供する企業への依頼も検討してはいかがでしょうか。

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