コンセプトとは?テーマとの違い・重要性・作り方などを解説

コンセプトとは?テーマとの違い・重要性・作り方などを解説

コンセプトは、辞書で調べても実体を掴みにくい言葉です。そのため、「企画にコンセプトは大切と言われるものの、実体が掴めないためにどのようにコンセプトを作ればよいのか分からない」という人も多いでしょう。

当記事では、コンセプトの意味と、同じような文脈で使われることの多い「テーマ」との違いを解説します。また、コンセプトがなぜビジネスで重要視されているか、コンセプトの作り方・実例も併せて紹介するため、商品・サービスなどの企画担当者の方はぜひ参考にしてください。

1.コンセプトとは?

コンセプトとは、ビジネスやコンテンツの企画を立てる時に必要となる考え方で「全体を通して一貫した基本的な方向性」という意味です。英語の名詞【concept】をカタカナ読みした言葉で、【concept】には「概念」や「構想」「発想」という意味があります。

具体的には「企画のコンセプトを考える」や「○○を企画のコンセプトにする」といったように使われます。「コンセプトにする」とは、「基本の考え方に据える」という意味合いです。

コンセプトという用語は、さまざまな場面で使われます。たとえば、コンセプトカフェは、特定の世界観を元に作られたカフェのことで、世界観に入り込めるのが特徴です。メイドカフェもコンセプトカフェの一種です。コンセプトカーは意味合いが異なり、自動車メーカーが今後の方向性を表現するために試験的に作った試作品という意味になります。

1-1.コンセプトと「テーマ」の違い

コンセプトと混同されやすい言葉に「テーマ」があります。テーマとは「主題」という意味で、作り手の主観が入りやすい考え方です。主に芸術方面で使われます。

たとえば、昔話の「桃太郎」のテーマは「勧善懲悪」と言えます。「桃太郎」のテーマには、先人の「悪は滅ぼされるべき」という主観が入っています。

一方、コンセプトはマーケティングなどのビジネスシーンでよく使われる言葉です。テーマを企画立案時の前提的な考え方とした場合、テーマをどのような切り口で実現するかを考える時の軸になる方向性がコンセプトとなります。

2.コンセプトがビジネスで重要な理由4選

ビジネスにおいて、コンセプトを考えることは非常に重要です。コンセプトを決めることによってビジネスが成功しやすくなったり、従業員がすべきことが明確になったりします。

また、コンセプトによって自社の考え方や製品がターゲットに刺さりやすくなったり、開発時のブレを防いだりできるでしょう。

以下では、コンセプトがビジネスで重要な理由を4つ説明します。

2-1.ビジネスの成功確率を高めるため

コンセプトを考える際には、市場調査や競合調査、経営戦略など総合的な観点から自社の分析を行います。ビジネスは需要と供給で成り立つため、まずは市場調査・競合調査をして、自社の強みや独自性を明確にします。

コンセプトの作成はこのような工程を踏まえるため、総合的に自社の分析をすることが可能です。自社の分析ができている会社は無駄がないため、ビジネスの成功確率が高くなります。

2-2.従業員がするべきことが明確になるため

コンセプトを決めておくと、トップの基本理念が従業員に伝わりやすくなります。従業員がなにを目指せばいいのかが明確になれば、お客様対応の方針などがはっきりします。

たとえば「お客様にほっと一息つける場所を提供する」というコンセプトのカフェの場合、従業員は堅苦しい接客でなくフレンドリーな対応でお客様に親しみを持ってもらい、アットホームな雰囲気を作ろうと考えるかもしれません。

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2-3.ターゲットに刺さる可能性が高まるため

ビジネスにおいては、コンセプトを作ることでターゲットに刺さる可能性が高まります。ある電気機器メーカーでは、コンセプトを端的に表したキャッチコピーによって機器の性能を重視する人々に刺さり、商品がヒットしました。

コンセプトは「全体を通して一貫した基本的な方向性」です。方向性がしっかり定まっていれば、キャッチコピーを作る時もターゲットに刺さりやすいものが作りやすくなります。

2-4.商品・サービス開発におけるブレの発生を防げるため

コンセプトは終始一貫していることが重要です。コンセプトを制定し、一本筋を通すことにより、商品・サービス開発時に軸がブレるのを避けることができます。

試行錯誤したり、議論したりしていると、軸のブレが発生することもあるでしょう。しかし、コンセプトを作っておくことで、コンセプトに立ち返り進むべき道が明確になります。

3.【STEP別】コンセプトの作り方

コンセプトを決める時は、「3Cフレームワーク」に沿うことが重要です。3Cフレームワークとは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の関係性から現状を分析する考え方です。

以下では、3Cフレームワークを踏まえて、コンセプト作成の手順を解説します。

3-1.【STEP1】市場のニーズを把握する

まずは市場のニーズを調査しましょう。自社が打ち出したいことの中からコンセプトを考えると、市場のニーズが伴っていない場合、空振りに終わるリスクがあります。

市場のニーズを把握するためには、ターゲットとなるユーザーが抱えている生活の悩みや問題をリサーチして、ユーザーの悩みや問題を解決するコンセプトを考えます。

ここで重要なのは、コンセプトの形です。端的に「ターゲットがどうなるか(なにを提供できるか)を表したコンセプトを考えましょう。

3-2.【STEP2】ターゲットを決める

STEP1で把握したニーズを持ちやすい層は、どのような人かを考えます。ターゲットは広いほうがよいと考える人もいますが、実際は狭ければ狭いほど尖った商品・サービスを作ることができ、結果的にターゲットに刺さりやすくなります。

ターゲットを決めるステップが、コンセプトを作る上でもっとも重要な段階です。

3-3.【STEP3】自社の商品・サービスが持つ強みなどを考える

ターゲットの決定後、改めて自社の強みを考えます。商品・サービスは「消費者が問題を解決するための手段」であり、商品自体が目的になることはほとんどありません。

設定したターゲットの問題を解決できる自社の強みはなにかを考え、問題を解決できる手段であれば、形式にとらわれず柔軟に発想してみましょう。ターゲットに「なにを提供できるか」「どのような価値を提供できるか」を熟考することが重要です。

3-4.【STEP4】競合との差別化を図る

いくらターゲットに刺さる強い商品・サービスを作れたとしても、その分野で既に成功している強力な競合がいる場合、自社の商品・サービスが埋もれてしまうこともあるでしょう。

競合に打ち勝つためには、競合にはない要素をコンセプトに取り入れ、差別化を図ることがポイントです。競合にない要素は、自社にとっての強みになるかもしれません。

ただし、差別化を意識するあまり、STEP1で掴んだニーズからかけ離れないよう注意が必要です。

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4.コンセプトの実例2つ

最後に、実際の企業のコンセプト例を2つ紹介します。

回転ずしチェーンのスシローのコンセプトは、「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」です。安い価格でお腹一杯食べたいという消費者の欲望を満たそうという考え方を端的に表したコンセプトと言えます。

出典:株式会社あきんどスシロー「企業理念」

スターバックスコーヒーのコンセプトは、「家でも職場でもない「サードプレイス」の提案」です。コーヒーだけでなく、家でも職場でもない「一息つける場所」の提供を表しています。実際に、スターバックスの店舗にはWi-Fiが完備されていたり、特定のメニューは2杯目が安くなり長居しやすかったり、さまざまな工夫がなされています。

出典:スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社「会社案内」

まとめ

コンセプトは、ビジネスやマーケティングで企画を立てる時に必要となる考え方で、「全体を通して一貫した基本的な考え方」を指します。コンセプトと混同されやすい「テーマ」は主題を意味しており、テーマをどのような切り口で実現するかを考える時の軸になる考え方がコンセプトです。

コンセプトの作り方は、まず市場のニーズを把握することから始めましょう。ターゲットを決定して自社の強みを考えるだけでなく、競合との差別化を図ることで、事業に役立つコンセプトが作れます。

企業のコンセプト作成などのブランディングが難しいと感じたら、コンサルティングを検討するのも有効な手段です。

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