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ブランドコンセプトとは?作り方から響かせるための3つのコツまで
ブランド戦略を図る上で、独自のコンセプトをしっかりと定めることは重要なポイントです。しかし、ブランドコンセプトをどのように作ればよいか分からない方や、そもそもなぜ必要なのか疑問に思う方もいるでしょう。
当記事では、ブランドコンセプトの概要をおさらいした上で、消費者や従業員の心に響くブランドコンセプトを作るコツと、実際の成功事例について解説します。自社のブランディングを効果的に進めたいと考える経営者の方は、ぜひご一読ください。
1.ブランドコンセプトとは?作る重要性も
ブランドコンセプトとは、ブランドブランドが目指す世界観や方向性を表します。なお、構想、概念を意味するコンセプト(Concept)は、Conceive(心に抱く、想像する)という動詞を名詞形にした単語です。コンセプトという単語は、ビジネス業界では「一貫した思想」や「基本的な方向性」といった意味で使われます。また「ブランドコンセプトを作る」とは、コンセプトを言語化し表現することです。
類似の表現として「ブランドイメージ」という言葉があります。イメージという言葉の持つ意味は、「印象」や「全体的な雰囲気」です。 イメージが「印象・雰囲気」である一方で、コンセプトは「概念」を表します。似たようなシーンで使われる言葉ではあるものの、ニュアンスが大きく異なるため、混同しないよう注意してください。
発案者の頭の中にある概念や方針、思想を、ブランドコンセプトとして言語化することは重要です。以下では、ブランドコンセプト作成により得られるメリットを紹介します。
ブランドコンセプトを作成するメリット
・他社との差別化
類似サービスを提供している他社と比較し、「自社のブランドの持つ最大の強み」を改めて考えるきっかけになります。考えを深めることでブランド価値の向上が期待できるでしょう。
・消費者に対するアピール
端的でインパクトのあるコンセプトは、消費者の購買意欲を高める広告としての役割も担います。他商品との違いや、自社の強みを効率的にアピールすることが可能です。
・社内での意識共有
コンセプトを明示しておけば、従業員同士が同じ意識を持って業務を行うことができます。ブランドアイデンティティが確立され、組織として一貫性のあるサービス提供が可能となります。
ブランドコンセプトの作成にあたっては、自社の方向性や可能性について時間をかけて思案することが大切です。コンセプトを作成する過程でブランドの価値を十分に深堀りでき、より高い社会的価値と魅力を見出せるでしょう。
2.【STEP別】ブランドコンセプトの作り方
ブランドコンセプトを作るには、まず自社ブランドの独自性や魅力についての考えを整理することから始めましょう。そのために重要な7つのエッセンスを紹介します。
ブランドコンセプトの7つのエッセンス
- 自社の技術や社歴など、ブランドの背景要素
- ブランドのパーソナリティ
- ロゴマークやシンボル
- 商品価値以外に加えたい付加価値
- ユーザー目線でのニーズ
- 顧客と築きたい関係性
- 他社にはない強みや魅力
ビジネスシーンにおいて”エッセンス”とは「大切な要素」「真髄」という意味を持ちます。コンセプトの構築にあたって会社全体のエッセンス・ブランドのエッセンスを再度認識しなおすことで、自社が叶えたいこと・本当に伝えたいことが明確になるでしょう。
エッセンスをしっかりと整理できたら、ブランドコンセプトを作る準備は完了です。作成5つのステップに沿って、自社のコンセプトを言語化しましょう。
2-1.【STEP1】現状把握・市場分析
サービスや自社を取り巻く社会情報を正確に把握することは、ブランドコンセプトを作成する時だけでなく、事業戦略を立てる上でも重要なステップです。
マーケティング戦略の基本ともいえる「3C分析」や「SWOT分析」といったビジネスフレームワークを活用し、自社の立ち位置や製品の強みを客観視しましょう。
2-2.【STEP2】ターゲット設定
消費者に響くブランドコンセプトを作成するためには、自社の商品を届けたいターゲットを明確にすることも重要です。
ターゲットを考える際のポイントは、性別や年齢といった属性よりも、「自社のファンとなってくれるかどうか」という点を重視することです。「同じ価値観を持っている人に喜んでほしい」「悩みを解決したい」といった内面的な想いをベースに検討を進めましょう。
2-3.【STEP3】ターゲットに提供可能な価値の把握
エッセンスや現状・競合分析をもとに、自社が提供できるサービスの価値を見極めます。競合他社や同業者と比べた時に、どのような違い・優位性があるかを再度確かめてください。
自社にしかできないことや自社の強みとなる部分は、ブランドコンセプトに反映させるべき重要なポイントとなります。
2-4.【STEP4】ブランドストーリーの構築
ブランドストーリーとは、消費者に向けて発信する「商品やサービスの特徴や魅力を伝えるための物語」です。ブランド立ち上げのきっかけとなった創業者のエピソードなど、ブランドの歴史や理念が感じられるストーリーを考えましょう。
ただ単に特徴や強みを羅列するのではなく、1つの物語としてまとめることで、共感性が生まれやすくブランドコンセプトの思案にも役立ちます。
2-5.【STEP5】ブランドコンセプトの言語化
エッセンスとここまでの流れで考案した内容から、インスピレーションされる単語や取り入れたい言葉を、思いつくままに書き出します。書き出した言葉を参考に、「目指す世界観」と「他にはない強み」を伝える文章を考えましょう。
どのようなターゲットが、何のために自社のサービスや商品に触れ、どうなって欲しいのかといった目的を意識することが重要です。
3.響くブランドコンセプトを作るコツ
ブランドコンセプトに求められるのは、独自性と分かりやすさのバランスです。他にはない表現を追い求めるあまり、肝心なブランドの方針や魅力の発信が疎かになることは避けなければなりません。
仮案ができあがった際には、周囲の人に印象や感想を尋ねてみることもおすすめです。狙ったイメージと異なる回答が出る場合には、言い回しや語尾を変えるなどして精度を高めましょう。
策定に行き詰まった時には、考案したブランドコンセプトが次の特徴に当てはまるかどうかを確認してください。
3-1.ブランドの必要性が明確になっている
ブランドの必要性が明確であれば、ターゲットに「欲しい」「利用したい」と思ってもらいやすくなります。
「どうしてこのブランドが必要なのか」と、ブランドの存在意義や商品コンセプトについて今一度考えてみましょう。消費者側の視点で考えることで、ブランドの必要性・使命が明確になり、どういった想いをこめるべきかがはっきりとしてくるでしょう。
3-2.ユーザーの悩みを代弁している
人の心に響かせたい時に意識するべきポイントは「共感性」です。コンセプトを聞いた時に「なるほど」「そうだなぁ」と共感できるフレーズは、自然と心に残ります。
ネガティブなワードは避けつつ、消費者が求めているもの・解決したいことなどユーザーの潜在ニーズに共感を生むフレーズを意識してみましょう。
3-3.ユーザーの未来が想像できる
「サービスを利用することで、自分にどのようなメリットがあるのか」をイメージしやすいコンセプトは、価値が伝わりやすく「利用したい」という意識をかきたてます。同時に従業員側も、ユーザーの未来を意識したサービス提供ができるため総合的なブランド力の向上につながるでしょう。
4.ブランドコンセプトの事例2選
最後に、実際の企業が掲げるブランドコンセプトとその魅力を紹介します。
●Starbucks Coffee(スターバックス コーヒー)
ブランドコンセプト「The Third Place(家でも職場でもない第3の場所)」
このコンセプトには、家でも職場でもない心温まるひとときを届ける場所、人々の心を豊かで活力のあるものにするという想いがこめられています。実際に、ドリンクやフードの魅力に加えて、「スターバックスという空間」に対する付加価値に大きな魅力を感じる人も多いでしょう。
具体的な言葉を使わずとも、会社として目指すべき方向性やユーザーのニーズをうまく表現しており、ブランド戦略の成功事例と言えます。
参考:https://www.starbucks.co.jp/
●Vermicular(バーミキュラ)
ブランドコンセプト「暮らしをかえる鍋」
一般的な調理器具と比べた時のバーミキュラの魅力は、高い機能性です。当時のメーカーが成し得なかった高気密な鋳物鍋を作り、現在は日本だけでなく世界から注目されるブランドへと成長を遂げています。
熱伝導率により食材の旨みを引きだすと同時に、保温性や気密性で調理の幅を広げられるバーミキュラの鍋は、まさに今までの常識を覆す「暮らしをかえる鍋」です。簡潔で分かりやすい一言に、商品の魅力・ユーザーの未来・ブランドの想いが込められています。
まとめ
ブランドコンセプトとは、ブランドが目指していく未来や叶えたい世界観を表したものです。多くの人が分かる形で言語化すると、効果的なブランディングを実現させられると同時に、ブランドそのものの価値が明確になり消費者への効率的なアピールにもつながります。
ブランドコンセプトを考案する際は、エッセンスを把握し、5つのSTEPに沿って言語化する方法が一般的です。心に響くブランドコンセプトとなっているか、消費者の視点で考えることで、より効果的な表現を見つけられるでしょう。他社のブランドコンセプトを参考にすることも一案です。
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