リブランディングとは?成功のコツから6つの事例まで紹介

リブランディングとは?成功のコツから6つの事例まで紹介

ビジネスを発展させるためには、消費者から自社のブランドを認知してもらい、継続的な支持を得る必要があります。しかし、自社が打ち出したブランド戦略が常にうまくいくとは限りません。思うような成果が得られない場合、リブランディングに取り組むことが重要です。

この記事では、リブランディングの概要や実施方法、具体的な事例などを紹介します。自社のブランド力を高めたい企業の経営者や広報担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

1.リブランディングとは?

リブランディングとは、自社ならではの価値を伝えるブランディングに、再びを意味する接頭辞のre(リ)が付いた言葉です。ブランドの再構築や再開発を表す用語として、リブランディングという言葉が使用されます。

リブランディングに取り組む目的は、時代の移り変わりに合わせて自社と消費者の関係性を改めることです。また、企業文化や従業員の意識を改善するためにリブランディングが行われる場合もあります。

ブランディングとリブランディングの違いは、すでに消費者や従業員にブランドが認知されているかどうかです。新規事業や商品の認知を広める活動はブランディングと呼ばれ、既存のブランドを刷新するリブランディングとは異なります。

1-1.企業がリブランディングに取り組むタイミング

リブランディングに取り組むべきタイミングはさまざまです。リブランディングに適した主なタイミングとして、次のような状況が挙げられます。

・事業のフェーズが移行した時

事業規模が拡大し、従来のブランド認知と現状にずれが生じた時は、リブランディングに取り組むべきタイミングです。提供するサービスの種類や顧客数の変化に応じて、リブランディングを行う必要があります。

・消費者の価値観が変化した時

社会情勢やライフスタイルの移り変わりによって、消費者の価値観が変化した時もリブランディングに適したタイミングです。リブランディングに取り組むことで、新しい価値観を持つ消費者にアプローチできるようになります。

・自社内に複数あるブランドが競合した時

自社内で複数のブランドを展開していて、消費者から見て区別がつきにくくなってしまった時もリブランディングが必要です。リブランディングにより各製品の位置づけを明確にすると、自社商品のブランドが競合している状態を解決できます。

2.リブランディングのメリット・デメリット

リブランディングには多くのメリットがあるものの、いくつかのデメリットもあるため、取り組む前に理解しておくことが重要です。デメリットを知らずにリブランディングに取り組んでしまうと、期待していた効果が得られないリスクがあります。

ここでは、リブランディングのメリット・デメリットを3つずつ紹介します。

2-1.リブランディングのメリット3選

リブランディングに取り組むことで期待できる主なメリットは次の3つです。

・新規顧客を獲得しやすくなる

リブランディングによって商品のラインナップや企業の発信するメッセージが変わると、新規顧客を獲得しやすくなります。従来はアプローチできなかった消費者から、自社の商品やサービスを選んでもらえるようになるのがリブランディングのメリットです。

・社内の意識が変わる

リブランディングを行うと、経営陣や従業員など社内の意識も変化します。自社が目指すビジョンを再認識し、意思決定の質やスピード、生産性などを高められることがリブランディングのメリットです。

・採用力の強化につながる

リブランディングに取り組んで企業の在り方が変わると、新たな人材を獲得しやすくなります。企業の掲げる新たなビジョンやメッセージにより、新たな人材からの共感を得ることが可能です。

また、リブランディングを通じて働き方や社内制度などの改善は、従業員満足度の向上や離職の防止にもつながります。

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2-2.リブランディングのデメリット3選

リブランディングに取り組むことで生じ得る主なデメリットは次の3つです。

・手間やコストがかかる

リブランディングに取り組む場合、サービスの名称変更や新たなロゴマークの作成など、さまざまな作業が発生します。また、新たなブランド認知を獲得するためには広告宣伝費も必要です。作業の手間が増えたり、コストがかかったりすることがリブランディングのデメリットとして挙げられます。

・従来の顧客層が離れるリスクがある

従来のブランドのほうが好みだった顧客層が離れてしまう可能性があることも、リブランディングのデメリットです。ブランドの方向性を大幅に変更する場合には、従来の顧客層に与える印象の変化に注意してリブランディングを行いましょう。

・社内で反発が生じるリスクがある

社内で反発が生じるリスクがあることも、リブランディングのデメリットです。特に、社名変更など大きな方向転換を行う場合、リブランディングに賛成しない層が一定数出てくる可能性があります。

3.【STEP別】リブランディングの実施方法

リブランディングは正しい方法で実施しなければ、ファンを失いかねません。これまでに築いてきたファンとの信頼関係を継続するために、適切な段階を踏んでリブランディングを行いましょう。

ここでは、リブランディングの実施方法を4つのステップに分けて解説します。

3-1.【STEP1】現状分析・把握

リブランディングを実施する最初のステップは、現状を分析し、問題点や改善すべき点を把握することです。現在自社が抱えている課題や商品・サービスの特徴などを分析すると、リブランディングで目指すべき方向性が明らかになります。

現状分析を行う時は、経営層など社内のメンバーで意見を出し合うだけでなく、得意客に対するアンケートなども行うのが重要です。社外から自社のブランドがどのように認知されているかを調査すると、より客観的に現状を把握できます。

また、市場や競合企業の情報など、自社を取り巻く環境についても分析しましょう。

3-2.【STEP2】ブランドの指針決め

2つ目のステップでは、現状分析で明らかになった課題をもとに、新たなブランドの指針を決定します。

たとえば、新規顧客の獲得が難しくなっている場合は、新たな顧客層に響くようなブランドメッセージが必要です。また、競合他社の参入で既存ブランドの真新しさがなくなっている場合、他社と差別化できる新たな切り口が必要となります。

リブランディングの目的に合わせて、商品やサービスが満たすべき条件や、自社が目指す在り方などを言語化しましょう。理想の状態を言葉で表現することによって、ブランドの指針を明確化できます。

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3-3.【STEP3】企業ロゴやホームページの刷新

3つ目のステップは、新たなブランドイメージを形にすることです。ロゴマークのデザインや企業の理念を表すタグラインなどを刷新しましょう。

リブランディングに取り組む時は、さまざまなクリエイティブを漏れなく変更し、整合性を保つのが重要です。主なポイントとして、次の項目が挙げられます。

  • 企業やブランドのロゴ
  • ホームページ
  • SNSアカウント
  • 会社案内パンフレット
  • 看板
  • 名刺
  • 商品パッケージ
  • ノベルティ
  • 広告クリエイティブ

あらゆる顧客接点で変更するべき点をチェックし、新たなブランドイメージを反映しましょう。

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3-4.【STEP4】社内への浸透

4つ目のステップは、新たなブランドイメージを社内に浸透させることです。

社内から理解を得るために、ブランドを再構築する必要性や、リブランディング後の在り方について説明する必要があります。特に、社内でリブランディングに対して反発がある場合には、丁寧なやり取りによる不安の解消が欠かせません。

新しいブランドイメージに対する従業員の意見を募るのも、社内への浸透に効果的です。従業員からの意見や感想がオープンになると、社内での理解が深まります。

4.リブランディングを成功させるコツ6つ

リブランディングを成功させるためのコツは次の通りです。

  • シンプルさを重視する
  • 3つの「リ」を意識する
  • 自社に合うパートナーを選ぶ
  • 短期的な成果を求めない
  • いい部分は残す
  • 見た目だけを変えて満足しない

ここでは、リブランディングを成功させるコツを6つ紹介します。

4-1.シンプルさを重視する

リブランディングの方針を決めたり、新たなブランドイメージを広めたりする時に、シンプルさを重視することが重要です。

企業理念を表す新たなタグラインが複雑で分かりにくいと、消費者や社内にうまく伝わりません。企業が提供する価値やターゲット層をシンプルに表現することがポイントです。

シンプルさにはキャッチコピーの簡潔さだけでなく、商品の使いやすさや無駄のないデザインなども含まれます。リブランディングに取り組む時は、シンプルさを重視しましょう。

4-2. 3つの「リ」を意識する

リブランディングでは、次に挙げる3つの「リ」が重要です。

  • リフレッシュ
    リブランディングを成功させるためには、消費者が自社に抱いている旧来のイメージをリフレッシュする必要があります。
  • リポジショニング
    リポジショニングとは、市場における自社の立ち位置を変えることです。自社の強みや競合他社の特徴を踏まえて、ブランドの価値がより高まるようにリポジショニングを行いましょう。
  • リバイタライズ
    リバイタライズとは、ブランドのファンや社内を活性化させることです。既存顧客や従業員の満足度を高めるようにブランドイメージを刷新することが、リブランディングの成功につながります。

上記3つのポイントを意識して、リブランディングを実施しましょう。

4-3.自社に合うパートナーを選ぶ

リブランディングには現状分析やブランド指針の明確化、ロゴマーク変更など数多くの作業が含まれます。社内のリソースだけでリブランディングを行うことは難しいため、自社に合うパートナーを選ぶことが重要です。

リブランディングが得意な外部企業に依頼すれば、課題の把握からデザイン制作、社内への浸透まで一貫して支援を受けられます。いくつかの外部企業に依頼を打診し、自社に合うパートナーを見つけましょう。

4-4.短期的な成果を求めない

リブランディングを成功させるためには、短期的な成果を求めないことも重要です。一般的に、一度形成されたブランド認知を変化させるためには時間がかかります。消費者や社内の反応を参考にしながら、中長期的にリブランディングを行うことがポイントです。

リブランディングの直後に明らかな成果が得られなかったとしても、失敗ではありません。情報発信を継続し、社内外に新たなブランドイメージを定着させましょう。

4-5.いい部分は残す

これまでに培ってきたブランドのいい部分までリブランディングで変えてしまうことは、逆効果となる可能性があります。長年にわたって多くの顧客から高く評価されているポイントや、自社独自の強みなどは生かしましょう。

リブランディングの目的を踏まえて、従来のブランドイメージに新たな付加価値を上乗せすることが成功のポイントです。

4-6.見た目だけを変えて満足しない

ロゴマークやパッケージデザインなど、見た目を変えるだけではリブランディングを成功させることはできません。見た目の変更は、あくまでも新たなブランドイメージを伝えるための手段です。

ブランドの見直しによって課題解決をするためには、商品の機能やターゲット層、社内の行動指針なども変える必要があります。これらの要素が従来と同じまま、デザイン面だけを変える行為はリブランディングの施策として不十分です。

5.リブランディングの事例6選

リブランディングに取り組む企業の事例は数多くあります。他社がブランドイメージの刷新に成功した事例は、自社ブランドを見直す時の参考にすることが可能です。

ここでは、数あるリブランディングの成功事例から6つを厳選し、各社で実施された取り組みを紹介します。

5-1.湖池屋

ポテトチップスなどのお菓子メーカーとして有名な株式会社湖池屋では、2016年にロゴマークや企業スローガンなどを一新しました。原材料に国産のじゃがいもを使用していることや、製法に対するこだわりを打ち出したフラッグシップ商品を発売しています。

新たなロゴデザインを目立つように大きく配置したパッケージデザインや、従来と異なるネーミングなどがフラッグシップ商品の特徴です。また、パッケージの背面には新商品に対する企業のこだわりや、商品づくりへの意気込みが書かれています。

リブランディングの取り組みが評価され、2017年にはグッドデザイン賞を受賞しました。

参考:株式会社湖池屋「湖池屋がプライドをかけて開発『KOIKEYA PRIDE POTATO』「2017年度グッドデザイン賞」を受賞」

5-2.mazda

自動車メーカーのマツダ株式会社は、リブランディングに成功した企業の1つです。マツダ株式会社は、1990年代前半から実施していた多チャンネル化がうまくいかず、値引き販売により業績が低迷していました。

そこでマツダ株式会社が行った施策は、シェアの拡大から既存顧客に強く共感してもらうことへの方針転換です。自社の熱狂的なファンである顧客5人にヒアリングを行い、集まった声をもとにデザインと機能性に優れた新車種を開発しました。また、経営戦略だけでなく顧客向けのブランドメッセージも刷新し、業績回復に成功しています。

参考:mazda

5-3.スターバックス

世界中に店舗を持つカフェ、スターバックスはもともとコーヒー豆の販売会社として経営されていました。コーヒーの味に感動したハワード・シュルツ氏はスターバックスに入社し、カフェ経営を提案したものの賛同が得られず1985年に退社します。

その後、自身でカフェ経営を始めたハワード・シュルツ氏は1987年にスターバックスの工場や商標などを買収しました。

スターバックスのブランド戦略は、広告を出さない、フランチャイズ展開をしないなど一般的なマーケティング手法と異なっています。店舗での顧客体験を重視し、従業員の教育に力を入れたことが、スターバックスのブランド価値を高めたポイントです。

参考:スターバックス

5-4.Nikon

光学機器メーカーのニコンは、時代の変化に合わせてブランドのシンボルマークを変更しています。

2003年に行った変更では、コーポレートカラーの黄色はそのままに、連続した光を表す白色のグラフィックが追加されました。ブランドロゴの黒色は信頼性や品質の高さを表現しています。

デザインが新しくなったシンボルマークは、商品パッケージや広告、ホームページなどに使用されています。

参考:Nikon

5-5.ヤンマー

ヤンマーは、農機具や発動機などの開発と販売を手掛ける大手メーカーです。創業100周年を迎えた2013年に、次の100周年に向けた取り組みとしてリブランディングを実施しました。

ヤンマーのリブランディングでは、農業ウェアの新たなデザインやロゴマークの刷新、コンセプトトラクターの制作などが行われています。従来の企業向けビジネスだけでなく、一般消費者にも自社の価値を提供する姿勢を打ち出したことがポイントです。

参考:ヤンマー「ヤンマープレミアムブランドプロジェクトの本格展開開始について」

5-6.ジーンズメイト

アパレル企業の株式会社ジーンズメイトは、2017年にRIZAPグループに参入したことをきっかけに、リブランディングに取り組みました。ブランドロゴやストアサインの刷新だけでなく、店舗サービスのクオリティ向上や働き方改革の推進にも力を入れています。

新商品の開発やコーディネートの提案などを通じて、ジーンズカルチャーを創ることがジーンズメイトの新たな理念です。

参考:株式会社ジーンズメイト「『ジーンズメイト、リブランディングを加速』コーポレート・アイデンティティ、ホームページ、ストアサインなどを一新」

まとめ

リブランディングとは、企業や商品のブランドイメージを再構築する取り組みを表します。リブランディングによって、新たな顧客層を獲得したり、採用力を高めたりすることが可能です。ただし、既存顧客や社内から反発されるリスクもあるため、丁寧に進める必要があります。

ここまで紹介した内容を参考に、ぜひリブランディングに取り組んでみてくださいね。

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