ブランディングに役立つフレームワーク4選|ブランディング法も解説

ブランディングに役立つフレームワーク4選|ブランディング法も解説

企業・商品へのイメージを定着させることは、他社と差別化し顧客にサービスを選んでもらうために非常に重要です。ブランディングを行う際には、自社と市場の調査・分析が欠かせません。ブランディングに向けた調査には、さまざまなフレームワークが存在するため、自社に合ったものを有効活用しましょう。

当記事では、ブランディングの実施方法とともに、ブランディングに役立つフレームワークを4つ紹介します。企業のイメージ定着につながるよう、適切なブランディングを行いましょう。

ブランディングとは?

ブランディングとは、「自社の商品・サービスの存在意義を明確化し、独自の付加価値を持たせることで他社との差別化を図り顧客に選ばれる企業になる」ための活動です。ブランディング(ブランド戦略)を実施してブランドイメージを向上させると、一時的な売上・利益をもたらすだけでなく、企業としての長期的な繁栄も期待できます。

企業ブランディングを行う際は、一貫性を持たせるようにしましょう。現在は経営戦略や雇用体制など、時代に応じて柔軟な変化が求められる時代です。しかし、自社ブランドを確固たる位置付けにするためには、ブランドイメージを持続させ、自社を支持しているブランドターゲットとの約束を守ることが重要です。

ブランディングの実施方法

ブランディングの実施方法には、5つのステップが存在します。5ステップのサイクルを繰り返し実施することで、ブランドイメージの向上が期待できるでしょう。ここでは、ブランディングをする上で重要な5つのステップについて解説します。

STEP1:市場調査 市場をマクロ的視点とミクロ的視点に分けて調べます。マクロ的視点は社会の中で話題になっている事柄についてさまざまな視点から考察し、自社のビジネスチャンスやリスクにつながるヒントを探すことが目的です。ミクロ的視点では自社・他社の数値化された情報をもとに市場の流れを把握し、顧客(消費者)のニーズと自社の強みを調査します。

STEP2:精査 市場調査で得た情報をふまえ、市場環境における企業ブランドの提供価値を見つけましょう。事業計画に合うターゲットを選定し、架空のユーザー像である「ペルソナ」を作ることで、ペルソナに自社を選んでもらえるような独自性を探せます。

STEP3:ブランドコンセプトの決定 市場調査・精査をもとに企業のブランドコンセプト(ブランドアイデンティティ)を策定します。企業が顧客に対しどのようなブランド価値を与えたいか、どのように見られたいかなどの方向性を明確にし、競合他社との差別化を図りましょう。

STEP4:施策の実行 決定したブランドコンセプトを浸透させるべく、コンセプトを広める手段と目標を数値化して管理します。近年はテレビCMや新聞・吊革広告といったマスメディアに加え、企業の公式WebサイトやSNSなどで宣伝を行う企業も増えています。SNSは企業側と顧客が直接接点を持てることから、ブランディングにより効果的でしょう。

STEP5:分析・改善 施策を実行し、得た数値をもとに分析・改善案を出します。改善案は次の市場調査に取り入れ、新たな目線で調査を行うとよいでしょう。

ブランディングに使えるフレームワーク4選

ブランディングを行う際には、有効なフレームワーク(戦略フレーム)があります。フレームワークとは、調査や分析を誰もが効率的に行えるように落とし込まれた考え方のことです。ここでは、ブランディングに使えるフレームワークを4つ紹介します。それぞれの意味や用途について解説するため、ぜひ参考にしてください。

3C分析

3C分析の名前は、Company(自社)、Customer(顧客・市場)、Competitor(競合)の頭文字であるCを取ったものです。自社、顧客・市場、競合他社という立場の異なる3つの視点を分析し、企業を内部と外部の両面から分析するために用いられます。ブランディングでは、「市場調査」に使われることが多い傾向にあります。

■3C分析の目的

Company(自社)市場や競合他社の変化に対し、自社の勝ち筋を見つける
Competitor(競合)競合他社の動きを分析する
Customer(顧客・市場)顧客や市場のニーズを調べる

3C分析は成功要因の発見につながるだけでなく、自社の弱みも知ることができます。市場の中での自社のポジションを客観的に理解し、ブランディング戦略に生かしましょう。

PEST分析

PEST分析の名前の由来は、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの頭文字を取ったものです。政治、経済、社会、技術という4つの要因が、自社に対しどのような影響を与えるかを把握するために用いられます。ミクロ的視点で環境分析する3C分析と異なり、もっと大きなマクロの視点で調査を行います。

■PEST分析の目的

Politics(政治)政治・税制・法律等の政治的環境要因が自社に及ぼす影響について分析する
Economy(経済)インフレ・デフレ等の経済的環境要因が自社に及ぼす影響について分析する
Society(社会)人口動態・価値観等の社会的環境要因が自社に及ぼす影響について分析する
Technology(技術)特許・技術革新等の技術的環境要因が自社に及ぼす影響について分析する

PEST分析は直近の状態ではなく、長期的な仮説を立てる際に使われます。ブランディングでは世間の動向から3~5年先の成長性を予測し、現在どのような取り組みをすればよいかシミュレーションを立てることが大切です。

SWOT分析

SWOT分析はStrength(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunity(機会)Threat(脅威)の4つの頭文字を取ったものです。自社の状態を「強み」「弱み」「機会」「脅威」に分けて分析し、把握できるフレームワークです。SWOT分析で自社の状況を内部環境と外部環境に分けて整理し、さまざまな視点からブランドコンセプトのヒントや課題を見つけましょう。

■SWOT分析の整理方法

プラス要因マイナス要因
内部環境Strength(強み):自社の得意分野や競合他社に真似できない強みなどWeaknesses(弱み):自社の苦手分野や競合他社に劣っている部分など
外部環境Opportunity(機会):社会や市場の変化に応じてプラスに動くことThreat(脅威):社会や市場の変化に応じてマイナスに動くこと

また、SWOT分析を終えた後は、「クロスSWOT分析」を行いましょう。クロスSWOT分析とは、SWOT分析で出た4つの項目を組み合わせ、戦略立案を行うフレームワークです。

  • 機会×強み:自社の持つ「強み」を生かし、「機会(チャンス)」に向けてどのような施策を取るか検討します。ブランドイメージの向上には欠かせない戦略です。
  • 機会×弱み:自社の持つ「弱み」を改善・補強し、「機会」に向けて生かす方法を検討します。消極的な考え方を変え、問題点を克服するチャンスと捉えましょう。
  • 脅威×強み:自社の持つ「強み」を生かし、いかにして「脅威」を切り抜けるか検討します。また、「脅威」を「機会」に変える施策を検討します。
  • 脅威×弱み:「脅威」から自社の持つ「弱み」を守るため、どのような解決策を打ち出すか検討しましょう。脅威の大きさを見極め、最悪の場合撤退も視野に入れる必要があります。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップとは、競合他社と比較し、自社のポジションを明確にする際に用いられる手法です。2つの軸からなるマップに他社と自社を並べることで、自社の商品(製品)・サービスの違いや関係性が客観的に把握できます。ポジショニングマップの作成手順は以下の通りです。

手順1 自社の商品・サービスの購買決定要因となるもの(ポジショニングマップの軸)を2つ選定する

手順2自社商品と他社商品をマップに配置し、購買決定要因を比較する

手順3完成したポジショニングマップをもとに分析する

例えば「掃除機」というカテゴリで考えた場合、購買決定要因として価格・吸引力・充電式またはコードレスなどを挙げ、最も重視されるものを2つ選んで軸とします。

まとめ

自社のブランディングを行う際には、市場調査や自社商品・サービスの分析がとても大切です。調査に使用できるフレームワークには3C分析やPEST分析、SWOT分析、ポジショニングマップなどさまざまな種類があります。それぞれ視点や方法が異なるため、何を調査・分析したいのかを考えながら手法を選びましょう。

調査・分析が終わった後は結果を精査した上でブランドコンセプトを決定し、ブランディングを実行します。実行後はさらに結果の分析をし、改善を続けることが企業イメージの定着につながります。

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