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ブランディングに必要なコンセプトの作り方|コンセプトの種類も解説
ブランディングを行うときには、顧客にブランドイメージを適切に伝えるために「コンセプト」を設定しておく必要があります。「コンセプト」は企画などでよく耳にする言葉ではあるものの、どのようなものか、どのように設定すればいいのか知らないという方もいるでしょう。
当記事では、「コンセプト」とは何かについて説明した上で、コンセプトの決め方や作成のコツを紹介します。明確なコンセプトを作り、ブランディングを効果的に進めましょう。
1.ブランディングに必要な「コンセプト」とは?
コンセプトとは、企画などを制作する際に設定する「基本的な考え方」や「概念」のことです。
コンセプトと混同されやすい言葉に、テーマがあげられます。テーマは物事の主題であり、主に名詞で表されます。まず軸となるテーマが作られ、どのような切り口で表現するかを示すコンセプトが決められます。
テーマは1つの物事に対して、1つしか設定しません。一方、コンセプトは1つのテーマに対して複数設定できることが特徴です。たとえば某有名テーマパークがハロウィンイベントを実施するとき、「ハロウィンイベント」をテーマとコンセプトに分けると、下記の通りです。
- テーマ:ハロウィンのイベント
- コンセプト:恐怖度を重視する、子供も楽しめる可愛いものにする、など
毎年ハロウィンイベントが行われていても、コンセプトが異なれば表現方法は同一とはなりません。複数のコンセプトがあれば、ハロウィンという1つのテーマをさまざまな切り口で表現できます。
コンセプトは、企業や商品のブランディングを行う上でも欠かせない存在です。同じテーマの商品やサービスを扱う競合との差別化をはかるには、コンセプトによって自社やブランドのカラーを明確化する必要があります。
1-1.さまざまな「コンセプト」
ビジネスで活用されるコンセプトは、主に「企業コンセプト」「商品コンセプト」「ブランドコンセプト」の3種類があげられます。自社の商品やサービスを選んでもらうには、商品やブランドのみならず、企業全体のイメージに関するコンセプト設定も重要です。
各コンセプトの特徴は、下記の通りです。
・企業コンセプト
企業が目指すべき方向性を表すためのコンセプトです。一貫性が求められ安易に変更されることのない企業理念とは異なり、時代の変化に応じて柔軟に方向転換されるのが企業コンセプトです。社内で事業や活動、コミュニケーションに関する従業員に対しての指針となる他、自社がどのような社会貢献をするか、社外に約束するための宣言にもなります。
・商品コンセプト
「誰に(ターゲット)」「どのような要望に(ニーズ)」「どのような技術で(技術・方法)」応える商品なのかを明確に伝えるためのコンセプトです。競合と差別化しつつ、狙ったターゲットにアピールすることが商品コンセプトの役割です。商品開発の段階からコンセプトシートを定めていると、最初の企画から逸脱しないための指標にもなります。
・ブランドコンセプト
顧客に対して、ブランドが日々果たしていく使命や約束を明確化するためのコンセプトであり、ブランド戦略の軸となります。顧客にどのような価値や体験をもたらすか、社会へどのように貢献するか、約束したことに共感を得てはじめてファンの獲得につながります。
市場に競合があふれ、商品やサービスの魅力のみでは差別化が困難な現代では、企業やブランドのコンセプトも重視すべきポイントです。
2.コンセプトの3つの決め方
ブランディングのコンセプトは、「おしゃれなイメージ」など漠然とした内容ではなく、誰に何を提供するのか明言できるものにすると、他社との差別化につながります。
ブランディングに効果的なコンセプトを定めるには、「ターゲット」「課題」「解決方法」が重要です。ここでは、コンセプトの作り方を3つのステップに分けて解説します。
2-1.ターゲットを決める
コンセプトを決める上で欠かせない要素の1つが、ターゲットです。誰を自社や商品、サービス、ブランドの顧客とするか、ターゲットを決めることから始めましょう。誰に発信したり提供したりするか明確でなければ、企画と異なる商品やサービスが完成してしまうおそれがあります。
コンセプトが同じでも、ターゲットが異なれば開発方針やアピール方法は異なります。開発途中でブレが生じないよう、世界観に一貫性をもたせるためにも、ターゲティングは重要です。
2-2.ターゲットの課題を想定する
競合との差別化をはかるには、顧客ターゲットを絞り込まなくてはなりません。たとえば20代女性全体をターゲットとするよりも、特定の課題を抱えた層のみを狙ったほうが、他社にはない商品やサービスの提供につながります。
ターゲットの課題は、下記の3つを軸に整理しましょう。
- 顧客が抱えている課題(実現したいこと)
- 嬉しいと感じること
- 嫌なこと(不便や不快を感じること)
顧客が何を課題としているか、何があれば嬉しいと感じるか、何ができれば不便さや不快感を軽減できるか考えます。分析データやアンケート調査などの資料も参考にすると、ターゲットの課題を絞り込みやすくなります。
2-3.課題の解決方法を探る
課題の解決方法を探るときは、バリュー・プロポジションにもとづいて考えると整理しやすくなります。バリュー・プロポジションは「誰の」「どのようなシーンの」「どのような課題について」「どのように解決するか」4つの要素から絞り込む方法です。
先に整理したターゲットの課題に対して、どのような価値を提供できるか考えましょう。ただし、あくまで自社が実現可能な範囲かつ強みを生かせる内容に留めます。差別化のためには、他社のほうが優れていたり代替商品がすでに提供していたりする価値は除外すべきです。
3.ブランディングに効果的なコンセプトを作るコツ
コンセプトは社内の人間のみならず、他社や顧客に対しても込められたメッセージが正しく伝わる内容であることが重要です。ブランドイメージが明確で伝わりやすいコンセプトは、高いブランディング効果も期待できます。
ブランディングにつながるコンセプトを作るためには、前述した3つのステップに加えて、押さえるべき3つのポイントがあります。
3-1.分かりやすく言語化する
コンセプトは、誰が見ても分かりやすいことが求められます。たとえば「豊かな生活を提供します」をコンセプトとした場合、すべての人が同じイメージをもつとは限りません。「金銭的に不自由がない」「家族と過ごす時間が多い」「仕事で活躍できる」など、人にとって豊かな生活のイメージは異なるためです。
どのような課題に着目しているのか、どのように解決してくれるのか、誰が見ても分かる言葉でコンセプトを作りましょう。ブランド価値を正しく伝えるために、コンセプトにはターゲットが理解しにくくなるような専門用語や横文字を使いすぎないこともポイントです。
3-2.オリジナリティが出せるよう心がける
コンセプトも、他社との差別化が必要です。自社のアイデンティティが伝わるような、オリジナリティあふれる内容を掲げましょう。似た内容であっても伝え方や言葉の選び方次第で、自社ならではの価値観を反映したコンセプトに仕上げられます。
重視すべきポイントは、目新しさがありつつも顧客にとってのメリットが伝わりやすいコンセプトにすることです。コンセプトを掲げると付加価値が生まれ、自社の売上やイメージの向上が期待できるかどうかも重要です。
3-3.顧客の心に響くものにする
売上に貢献できるコンセプトの特徴は、顧客の心に響くことです。ブランド誕生のストーリーや創業者の想いが伝わる内容、他社には真似できない魅力があると分かるブランドコンセプトが求められます。
顧客が「自分はこのブランドストーリーが好き」「このブランドは自分のためのものだ」と共感できるコンセプトを掲げることが重要です。
適切な言葉が思い浮かばないときは、他社の事例や話題となったキャッチコピー、書籍のタイトルを参考にする方法もおすすめです。さまざまな文言をインプットした上で、自社ならではの伝え方を発見しましょう。
まとめ
コンセプトとは、物事の表現方法を考えるときに必要な「概念」や切り口のことであり、ブランディングを行う際にはコンセプトを明確にしておく必要があります。
コンセプトを決める際は、ターゲットを決めた後、ターゲットが持ちうる課題とその解決方法を探り、自社が提供できる価値がなんなのかを言語化します。他社との差別化やターゲットからの共感を得るためには、明確でオリジナリティのあるコンセプトを設定することが大切です。顧客の心に響き、魅力的に感じるコンセプトを作り、ブランディングを成功させましょう。
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