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コーポレートブランディングとは?11社を比較紹介!
企業経営において、企業のブランドイメージは重要な意味を持ちます。価値のあるブランドイメージを打ち出している企業は、顧客や取引先はもちろん、株主や従業員からも良好な反応を引き出せるためです。自社のブランドイメージを明確に形成したい場合は、コーポレートブランディングに取り組みましょう。
当記事では、コーポレートブランディングの概要から期待できる効果や進め方、具体的な施策まで解説します。コーポレートブランディングのおすすめ会社や実際の事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1.コーポレートブランディングとは?重要性やリブランディングとの違い
コーポレートブランディングとは、企業の社会における存在価値を明確にして、従業員・顧客・取引先・株主などのステークホルダーに支持される体制を構築することです。コーポレートブランディングによって企業のブランドが広く認知されるようになり、企業価値が高まります。
そもそもコーポレートとは「企業」を指す言葉です。ブランディングは、ブランドを形成するために行う各種活動のことを指します。
企業にとってのブランドは、販売する商品の名称・デザインや広告のキャッチコピーなど、さまざまなイメージが組み合わさって形作られます。社会における自社・自社商品の価値やポジションを明確にして、競合他社と差別化したイメージを広く発信できる点が、コーポレートブランディングが重要である理由です。
・コーポレートブランディングと「リブランディング」の違い
企業価値を高める手法としては「リブランディング」を思い浮かべる方も多いでしょう。
リブランディングとは、すでに構築・共有がされているコーポレートブランドを変える取り組みのことです。ブランド再生を目指すときや、ブランド自体を一新したいときにリブランディングが選択されます。
コーポレートブランディングは、企業が明確なブランドを構築していないときに選択される手法です。「企業が実現したい社会」などの理念を誰もが理解できることを目的として、コーポレートブランディングを作り上げます。
2.コーポレートブランディングのおすすめ会社11選!
コーポレートブランディングの活動は多岐にわたるため、一般的にコンサルティング会社のサポートを受けながら進めます。
コーポレートブランディングのおすすめ会社は、下記に紹介する11社です。各社がサポートするコーポレートブランディングの内容を一覧表で紹介します。
会社名 | 理念構築 | 戦略立案支援 | 研修 | 人事評価制度 | 採用ブランディング | HP | ムービー | PR/プロモーション | webマーケティング | セミナー |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
電通 | ✕ | 〇 | ✕ | 〇 | ✕ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
博報堂 | ✕ | 〇 | 〇 | ✕ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
イマジナ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
インターブランド | 〇 | 〇 | 〇 | ✕ | ✕ | 〇 | ✕ | 〇 | ✕ | 〇 |
パラドックス | 〇 | 〇 | 〇 | ✕ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
サニーサイドアップ | 〇 | 〇 | ✕ | ✕ | ✕ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ✕ |
大広 | ✕ | 〇 | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | 〇 | 〇 | 〇 | ✕ |
TOMORROW GATE | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ✕ |
ADKホールディングス | ✕ | 〇 | 〇 | ✕ | ✕ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
大日本印刷 | ✕ | 〇 | ✕ | ✕ | ✕ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ✕ |
凸版印刷 | 〇 | 〇 | 〇 | ✕ | ✕ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ✕ |
また、コーポレートブランディングを検討するときは各社の特徴も把握して、自社に合ったコンサルティング会社を選びましょう。以下では、おすすめ11社のコーポレートブランディングにおける特徴やメリットを解説します。
2-1.株式会社電通
株式会社電通は、世界各国にも事業を展開している日本最大級の総合広告代理店です。以下の4領域についてブランディングサービスを提供しています。
・AX
高度化された広告コミュニケーションを提供する領域です。クリエイティビティとデジタルデータの活用により、広告のパフォーマンスを最大化します。
・BX
企業の事業全体における変革をサポートする領域です。企業の事業戦略や従業員の意識について改革を進め、企業価値の向上につなげます。
・CX
顧客体験の変革を行う領域です。最適なカスタマージャーニーをデザインし、顧客体験の長期的な価値向上を目指します。
・DX
事業成長を可能とするマーケティング基盤の変革を行う領域です。現代の技術進歩に対応したマーケティング基盤の設計・開発などを行います。
株式会社電通は4つの領域で事業成長・事業変革ができる組織作りを提供し、コーポレートブランディングの実現をサポートしています。
2-2.株式会社博報堂
株式会社博報堂は、生活者発想での価値創造に強みを持つ日本最大級の老舗広告代理店です。以下のプロジェクト・組織により企業のブランディングを支援しています。
・HAKUHODO X CONSULTING
博報堂グループ横断で提供される統合コンサルティングサービスです。イノベーション領域・ビジネス領域・マーケティング領域をカバーし、企業のブランドを独創的かつ社会的意義のあるものへと変化させます。
・博報堂ブランド・イノベーションデザイン
事業・サービス開発や人材・組織開発などをサポートする組織です。社会洞察や企業・組織変革支援のプログラムを提供しており、社会に求められる企業の在り方を作り出すために活用できます。
株式会社博報堂はクリエイティブ面にも強みを持つ点が特徴です。自社を魅力的に発信し、ステークホルダーに支持されやすいブランディングが行えます。
2-3.株式会社イマジナ
株式会社イマジナは、企業ブランディング専門のコンサルティング会社です。ブランディング事業の主な領域は以下の3種類が挙げられます。
・インナーブランディング
企業に勤める従業員に向けて行うブランディングです。理念浸透やビジョン構築、人事評価制度などによりコーポレートブランドを構築し、従業員へのブランド浸透を図ります。
・アウターブランディング
株主・取引先・生活者に向けて行うブランディングです。企業のロゴやwebデザイン、マーケティングなどを通してブランド価値を向上し、より多くの認知を獲得します。
・リクルートブランディング
採用人材に向けて行うブランディングです。ペルソナの設定からリクルートサイトの構築やイベント・企画を通して学生との接点を早期に作り、ペルソナにあった訴求方法で魅力を伝え採用戦略において他社との差別化を図ります。
理念浸透や組織構築など人に注力した「インナーブランディング」を強みとし、企業が求めるブランディングの方向性に合わせて、幅広い施策を提案できることが株式会社イマジナの強みです。
2-4.インターブランド
インターブランドは世界最大級のブランディング専門会社です。主に以下の4領域について、ブランディング施策の提案を行っています。
・調査分析・価値評価
顧客洞察分析などで市場の未充足ニーズや機会を調査し、顧客が期待する体験を把握します。ブランディング活動のモニタリングや修正・改善を行うことも可能です。
・ブランド戦略・マーケティング戦略の策定
ブランドの目的・役割を明らかにした上で、ブランド戦略やマーケティング戦略を策定します。
・ブランド経験の表現・デザイン
商品・サービスの経験デザインや、ロゴ・シンボルなどを開発する領域です。
・組織変革のマネジメント
ブランド意識を持てる企業風土の形成など、ブランド戦略を実現できる組織作り・組織変革を行う領域です。
インターブランドは著名な大手企業のブランディングを手がけた豊富な実績があり、蓄積されたノウハウによる充実のサポートを受けられる点が魅力です。
企業名 | 株式会社インターブランドジャパン |
---|---|
設立年 | 1974年 |
所在地 | (日本オフィス)東京都渋谷区広尾5丁目6番6号 広尾プラザ9階 |
2-5.パラドックス
パラドックスは、企業・個人向けのブランディング事業を専門に手がけるコンサルティング会社です。企業向けのブランディング事業には以下の4領域があります。
・コーポレートブランディング
企業理念を言語化し、目指すビジョンや達成すべきミッションを作り上げる領域です。
企業のブランドを構築し、経営戦略と連動できるブランド戦略を策定します。
・インナーブランディング
コーポレートブランドを従業員に浸透させる施策の導入・実践・効果測定を行い、企業と従業員の意識共有を図る領域です。
・カスタマーブランディング
企業を支えてくれる顧客を増やすための領域です。ペルソナ策定やブランドアイデンティティの考察を行い、最適なコミュニケーション戦略を設計・実施します。
・採用ブランディング
採用したい人材に伝えたいイメージを明確化し、ともに働いてくれる人材を獲得するために緻密な採用戦略の策定を行う領域です。
パラドックスはクリエイティブ制作も提供しており、総合的なコーポレートブランディングに対応できる点が魅力です。
企業名 | 株式会社パラドックス |
---|---|
設立年 | 2001年 |
所在地 | (東京オフィス)東京都港区北青山3-5-15 ミヤヒロビル10F |
(参考:https://prdx.co.jp/)
2-6.サニーサイドアップ
サニーサイドアップは、企業の広報活動を支援するPR会社です。メディアやデジタルコンテンツを活用したPR領域の他にも、コーポレートブランディングにつながるサービスを提供しています。
・プランニング
企業の成長・変革を実現するための戦略を提案する領域です。商品・サービスの価値を広く認知させる戦略PRデザインや、ブランドの価値を増幅させる戦略ブランディングなどの施策があります。
・事業開発
企業の新たな事業を支援する領域です。社会への情報発信を行うメディア開発や、他社との協働を図る事業アライアンスなどの手法を提案します。
・社会貢献
企業の重要な存在意義である社会貢献のために、CSVやCSRなどの社会貢献活動を紹介・参加支援する領域です。
サニーサイドアップは特にPR施策に強みがあります。自社のブランドイメージを最適な形で社会に伝えたい場合におすすめです。
企業名 | 株式会社サニーサイドアップ |
---|---|
設立年 | 2019年 |
所在地 | 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-23-5 JPR千駄ヶ谷ビル7F-8F |
2-7.大広
大広は、テレビ・ラジオ・雑誌などメディア向けの宣伝広告を取り扱う広告代理店です。大広ではD2Cビジネスを展開する企業に向けて、顧客価値を積み重ねることでブランドの活動を作る「Brand Activation」というサービスを提供しています。
Brand Activationは、顧客価値を基軸として事業構想やブランド戦略立案などを行い、企業と顧客との共創をサポートする内容です。顧客との絆づくりに取り組むことでコーポレートブランディングの活動が行えます。
Brand Activationの実行部隊は「DAIKO WEDO」という名称が付けられており、プロデュース・キャスティングなどさまざまなチームで構成されています。
2-8.TOMORROW GATE
TOMORROW GATEは、企業向けのブランディング事業を取り扱うコンサルティング会社です。ブランディングの領域は以下の5種類が用意されています。
・経営理念策定
経営理念を言語化した上で、目指すビジョンにゴールと期限を設定し、個性的な企業のブランドを作り出します。
・アウターブランディング
Web制作やムービー・広告制作など、策定したブランドを対外的に発信する施策を行います。
・インナーブランディング
人事評価制度設計や理念共有プログラムを通して、従業員にブランドの浸透を図ります。
・採用ブランディング
優秀な人材に注目される人材採用のコンセプトや、ブランドイメージを伝えられる採用戦略を立案する領域です。
・SNSブランディング
SNSを活用したブランディングにより、自社の認知度を高めてファンの獲得を図ります。
TOMORROW GATEは対応する領域が広く、コーポレートブランディングについて一貫したサポートを期待できる点が強みです。
企業名 | トゥモローゲート株式会社 |
---|---|
設立年 | 2010年 |
所在地 | 大阪市中央区西心斎橋1-6-32 アニーズビル2階 |
2-9.ADKホールディングス(アサツー・ディ・ケイ)
ADKホールディングス(アサツー・ディ・ケイ)は、広告代理店業務を行う事業会社各社を擁する会社です。傘下の中では主に以下の2社が、コーポレートブランディングのソリューションを提供しています。
・ADKマーケティング・ソリューションズ
企業が抱える課題を分析し、マーケティング領域におけるソリューションを提案する会社です。顧客体験アプローチやデータドリブンマーケティングが主要な施策となっています。
・株式会社ADKクリエイティブ・ワン
コミュニケーション戦略の立案や、クリエイティブ・プロモーション領域における施策を提供する会社です。クリエイティブ・プロモーション領域の企画から制作までを依頼できる体制が整っており、自社が抱える課題を解決に導いてもらえます。
専門性のある2社によるサポートを期待できる点が、ADKホールディングス(アサツー・ディ・ケイ)の魅力です。
企業名 | 株式会社ADKホールディングス |
---|---|
設立年 | 1956年 |
所在地 | 東京都港区虎ノ門1丁目23番1号 虎ノ門ヒルズ森タワー |
(参考:https://www.adk.jp/)
2-10.大日本印刷
大日本印刷は、印刷事業を中心に幅広い事業を展開する総合印刷会社です。コーポレートブランディングにかかわる事業では、主に以下の3領域を提供しています。
・企業コミュニケーション
企業の社会的価値を分かりやすく発信できるシステムを設計・実施し、ステークホルダーとの円滑なコミュニケーションを支援します。
・マーケティング・セールスプロモーション
デジタル技術・デジタルデータを活用したマーケティング戦略の立案や、新しい顧客体験を届けられるセールスプロモーションの提案を行う領域です。
・メディア企画
広告の露出場所に合わせたメディアの提案や、宣伝対象に合わせたクリエイティブの企画・制作を行う領域です。
大日本印刷には豊富な技術・ノウハウの蓄積があり、企業が抱える課題に合わせたソリューションの提案が期待できます。
2-11.凸版印刷
凸版印刷は、印刷テクノロジーを基盤としてさまざまな事業活動を展開する総合印刷会社です。コーポレートブランディングについては、トッパンブランド戦略チームにより以下のようなソリューションが提供されています。
・グループブランディング
グループ全体のブランディングを整備し、インナーブランディングによる従業員へのブランド浸透を図る領域です。
・デザインマネジメント
企業内で使用されるドキュメントのフォーマットやルールを統一し、ブランド価値を高められるテンプレートの設計などを行います。
・BtoBブランディング
BtoB企業向けに、取引先や金融機関に支持される企業理念の形成や、アウターへのブランド認知を支援します。
・ブランドコミュニケーション
企業が顧客や生活者と円滑なコミュニケーションを取れるように、企画やコンセプト策定、キャラクターデザインの開発などを行います。
専門の戦略チームによる手厚いブランディング支援を期待できる点が、凸版印刷の魅力です。
3.コーポレートブランディングのメリット・期待できる効果4選!
コーポレートブランディングにはさまざまなメリットがあり、企業活動においてもプラスの効果が期待できます。主なメリット・期待できる効果は下記の4点です。
- 従業員のモチベーションが高まり強固な組織作りに繋がる
- 採用面においても他社との違いが明確になりプラスに働く
- 企業の付加価値が高まる
- 信頼性が高まる
以下では、4つのメリット・期待できる効果について詳しく解説します。
3-1.従業員のモチベーションが高まる
コーポレートブランディングを実施すると、従業員にもブランドの意識が浸透します。明確化した企業理念に基づき行動することで、従業員のモチベーションが高まる点がメリットです。従業員は企業のブランドに誇りを持ち、自社の発展に積極的に貢献してくれるでしょう。
また、企業のブランドに誇りを持つ従業員は、「同じ企業で働き続けたい・成長したい」と考えるようになります。従業員の離職率低下が期待できる点も、コーポレートブランディングのメリットです。
3-2.採用面でプラスに働く
コーポレートブランディングは採用面でもプラスに働きます。社会的価値のあるブランドを打ち出した企業には、「社会的価値のある企業で働きたい」と考える人材が集まりやすいためです。
採用活動では、採用情報に掲載されている給与・待遇が重視されやすいものの、優秀な人材は給与などよりも「何を実現できるか」を基準として就職先を選ぶ場合があります。採用サイトやリクルーターにも企業のブランドが前面に出ていれば、企業のブランドに共鳴する優秀な人材が獲得できるでしょう。
3-3.企業価値が高まる
企業の社会的な存在価値をブランドとして打ち出すことで、付加価値を示すことが可能です。確立されたブランドは競合他社との差別化につながり、企業の市場競争力を生み出せます。現在の企業価値はもちろん、将来的な企業価値も高められる点がメリットです。
また、個性的なブランドを持つ企業は顧客の「ファン化」が期待できます。ファンの増加は売上アップにつながるため、利益の増加も実現できるでしょう。
3-4.信頼性が高まる
企業が銀行からの融資や投資家からの出資を受けるためには、企業自体に信頼性が求められます。企業の信頼性とは、財務状況や事業の計画・実績に加えて、企業の将来性も含めて総合的に判断されるものです。
コーポレートブランディングは企業理念や将来的な目標を明確化して発信するため、企業の信頼性を高められます。資金調達がしやすくなるだけではなく、新規事業や事業計画について株主からの理解が得やすくなる点もメリットです。
4.【STEP別】コーポレートブランディングの進め方
コーポレートブランディングに成功するとプラスの効果が数多く期待できるため、あらゆる場面で「強い」企業になれます。ただし、コーポレートブランディングを成功させるためには、正しい流れで進めることが重要です。
ここでは、コーポレートブランディングの進め方を6つのステップに分けて紹介します。
4-1.【STEP1】コーポレートブランディングが必要かどうか見極める
コーポレートブランディングを進める前に、まずは自社にコーポレートブランディングが必要かどうか見極めることが大切です。「企業のブランドを明確化する必要性」が全社的に高まるタイミングであれば、コーポレートブランディングの決裁が通りやすくなります。
コーポレートブランディングに取り組むタイミングは、企業にとって節目となる時期がおすすめです。タイミングの例を2つ紹介します。
・社長が交代するときや後継者を育成していくとき
社長が交代するときは新しい経営指針やビジョンも合わせて発表される傾向があるため、コーポレートブランディングを進めやすいタイミングと言えます。また、社長に紐付いた文化は継承することが難しい為、事業継承する前に企業の文化を構築する必要性があります。
・企業が上場する際・事業を拡大する際
企業が上場したり事業を拡大したりするときには、企業としての想いや大切にしている考えを固めておかないと組織が崩壊する可能性もあります。また、アウター向けの広報戦略も組み立てる必要があり、コーポレートブランディングの必要性が高まるタイミングです。
企業にとって節目となる時期には、株主や取引先の注目も集まります。適切なタイミングで取り組むことは、コーポレートブランドの認知を進める上でも効果的です。
4-2.【STEP2】プロジェクトチームを作る
コーポレートブランディングの決裁が通ったら、プロジェクトチームを作ります。コーポレートブランディングは全社的な取り組みであるため、チームメンバーは部門・部署横断で集めましょう。
プロジェクトチームに適任の人材は「広い視野を持ち、課題に対して主体的に動ける人」です。また、コーポレートブランディングは5年後・10年後における企業の在り方を見据える必要があり、「中長期的な視点で物事を捉えられる」資質も重要となります。
チームメンバーを集めた後はメンバー間の意見交換や個性の理解を促し、チームとして結束できる体制を整えましょう。全員がコーポレートブランディングの知識を持っているとは限らないため、コーポレートブランディングについての勉強会を開催することも必要です。
4-3.【STEP3】現状を把握する
プロジェクトチームを実際に動かし、企業の現状を把握します。企業の内部分析・外部分析をそれぞれ行い、自社にどのようなイメージが持たれているかを確認するステップです。
内部分析の方法としては、経営トップへのインタビューがあります。インタビューを通して経営トップの支援を取り付けるとともに、経営トップが考える全社戦略や、ブランディングの制約条件を把握できます。
インタビューと同時に社内資料の収集も行いましょう。会社案内や社内報、アニュアルレポート・CSRレポートなどが企業の現状把握に役立つ社内資料です。
外部分析では、取引先や消費者に対してステークホルダー調査を実施すると、企業の現状や課題を客観的に調査・分析することが可能です。内部分析・外部分析によって把握できた現状を基に、コーポレートブランディングの方向性を決定します。
4-4.【STEP4】CIとVIを決める
コーポレートブランディングの方向性は、CIとVIの2つによって決まります。
CI(コーポレートアイデンティティ)とは、企業が掲げる理念や経営指針を実現するための企業戦略です。CIを決める際は、内部分析・外部分析で得られた情報を整理して、企業の抱えている課題や期待されている役割を明確化します。「自社はどのような方向性を目指すべきか」を分かりやすく表現することがCIの目的です。
一方のVI(ビジュアルアイデンティティ)は、CIで決めた企業の方向性を視覚化するステップです。VIは、企業の目指す姿や理念を企業ロゴ・シンボルマーク・コーポレートカラーなどで表現します。企業のブランドコンセプトを視覚的に表現し、社会に向けて発信・浸透させることがVIの目的です。
4-5.【STEP5】事業戦略の構築
CIとVIを決めた後は、コーポレートブランドを形成するための事業戦略を構築します。
事業戦略を構築する際は、CI・VIで明確化した方向性と実際の戦略との一貫性を保つことが重要です。方向性と戦略が一貫していることで「目標達成を目指す企業姿勢」をアピールでき、企業の信頼性が高められます。
CI・VIと戦略を一貫させるためには、VIシステムを作りましょう。VIシステムとは、VIの使用方法を厳密に定めたルールのことです。たとえば企業ロゴやコーポレートカラーはどのような場面で使うべきか、反対に使ってはならない場面は何かなどのルールを定めます。
VIシステムを活用することで、CI・VIの方向性と一貫する事業戦略を組み立てられます。VIの運用例を具体的に示したデザイン適用事例や、ルールブック形式にまとめた「VIマニュアル」を作ることもおすすめです。
4-6.【STEP6】社内外での浸透度を検証
コーポレートブランディングは、コーポレートブランドを形成するだけで完了ではありません。コーポレートブランドが正しく認知されているかどうか、社内外での浸透度で検証する必要があります。
浸透度を検証する方法は、「【STEP3】現状を把握する」のステップでも用いたステークホルダー調査です。ステークホルダーが抱いている企業のイメージを調査し、前回の調査と比較してどのように変化したかを分析します。
浸透度を検証した結果、期待した通りの方向性でコーポレートブランドが認知され、企業のイメージが向上していればコーポレートブランディングは成功です。
5.コーポレートブランディングの具体的な施策5つ!
コーポレートブランディングを実践する施策としては、主に下記の5つが挙げられます。
- 理念を見直す
- 人事制度を見直す
- 事業戦略の再構築
- 社名やロゴをリニューアル
- Webサイトをリニューアル
コーポレートブランディングを検討する際は、自社の抱える課題に合った施策を選択しましょう。ここでは5つの施策について、具体的な内容を解説します。
5-1.理念を見直す
企業の理念には、企業の価値観や、企業と社会との関係性が示されています。しかし、企業の価値観や社会との関係性は、長い年月を経ても常に一定であってよいわけではありません。時代によって変化する企業の役割や社会情勢に合わせて、企業の理念も見直す必要があります。
理念を見直すときは、企業の持つ付加価値をステークホルダーに認知させ、5年後・10年後に企業が目標を実現するイメージができるように作りましょう。従業員が企業の価値観などを正しく理解し、共感できる内容にすることも大切です。
5-2.人事制度を見直す
理念の見直しによって企業としての考え方や方向性が変化しても、人事制度に変化がなければ真に従業員の理解を得ることはできません。新しい企業の方針に貢献しても評価が得られない制度では、従業員は古いままの意識や働き方で満足する可能性があります。
従業員にブランドを浸透させるためには、従業員を正当に評価できる人事制度が必要です。たとえば従業員を貢献度で評価する業績評価や、業務に取り組む姿勢を評価する情意評価を取り入れると、従業員のモチベーション向上が期待できるでしょう。
5-3.事業戦略の再構築
企業ロゴ・コーポレートカラーなどのVIを作成した場合は、連動して事業戦略の再構築も行います。
事業戦略の再構築として分かりやすい例が商品デザインのリニューアルです。商品デザインにVIを付与することにより、顧客の企業イメージを大きく変えながら認知を広げられます。
ただし、商品デザインなどをリニューアルするときは「顧客の気持ち」を無視しないようにしましょう。顧客によっては商品デザインに愛着を感じているケースがあり、安易にリニューアルすると「前とは別の製品になった」と不満を持たれる可能性があります。
顧客の気持ちや考えを調査した上で、顧客に好かれ続けるブランドになるためのリニューアル方法を模索することが大切です。
5-4.社名やロゴをリニューアル
社名やロゴのリニューアルは、企業イメージを刷新できる施策です。
新しい社名やロゴに企業の方針や社会貢献のメッセージを込めることで、顧客や取引先へのブランド浸透を期待できます。社名やロゴのリニューアルはメディアに取り上げられるケースもあり、企業自体の認知度が低い場合にも有効な施策です。
また、社名やロゴのリニューアルは従業員の意識改革を促す効果も期待できます。従業員は新しい社名やロゴを見るたびにブランドを身近に感じ、ブランドへの誇りを持って働くようになるでしょう。
社名やロゴは企業の顔であるため、リニューアルするときは既存顧客の反応を検討し、慎重に進める必要があります。
5-5.Webサイトをリニューアル
コーポレートブランディングを進める上では、企業ホームページなどのWebサイトもリニューアルすることが大切です。主に下記の取り組みを進めましょう。
- 企業理念・経営理念などのコンテンツを新しい内容に変える
- レスポンシブデザインを導入する
- 配色にコーポレートカラーを使用する
企業の活動内容を紹介する「コーポレートサイト」以外に、顧客向けに商品・サービスを説明する「ブランドサイト」の立ち上げもおすすめです。ブランドサイトで顧客に商品・サービスを身近に感じてもらうことで、ブランドの浸透と企業イメージの向上が期待できます。
6.コーポレートブランディングを進める場合の注意点
コーポレートブランディングは成功によるメリットが大きい一方で、失敗すると企業経営にマイナスの影響を与えます。コーポレートブランディングを進める場合は以下の注意点を押さえましょう。
従業員の主体性が発揮できるように工夫する |
---|
社内へのブランド浸透を図る上では、従業員一人ひとりがブランドを自分と関係のあることとして捉え、主体的に参加する必要があります。従業員の主体性が発揮できるよう、企業はコーポレートブランディングの取り組みを工夫しましょう。 取り組みの例としては、ブランドのスローガンやイメージキャラクターのデザインを社内公募する方法が挙げられます。 |
消費者や株主との関係を構築する |
---|
コーポレートブランディングを成功させるためには、消費者や株主との関係を構築することが重要です。消費者や株主からの支持が得られなければ、企業が目指す目標や社会的役割は達成できません。 消費者や株主が企業に何を求めているかを調査し、顕在的・潜在的ニーズを満たせる方向性でコーポレートブランディングを進めましょう。 |
コーポレートブランドを放置しない |
---|
新しく作り上げたコーポレートブランドも、年月の経過とともに古くなります。市場の状況や顧客心理に見合っていないコーポレートブランドはイメージダウンにつながるため、適宜修正・更新を図りましょう。 |
7.コーポレートブランディングの事例3選
コーポレートブランディングを計画・実践する上では、実際の事例を把握しましょう。企業がどのような課題を抱え、解決のためにどのような施策を実施したのかを知ることは、自社が実践する際の参考になります。
以下ではコーポレートブランディングの事例を3つ挙げ、各社が実施した施策を解説します。
7-1.UNIQLO
ファストファッションで知られるUNIQLOは、2006年秋のニューヨーク旗艦店オープンに合わせてロゴをリニューアルしました。赤地に白の細い字体で社名を描いた現在のロゴは、UNIQLOをカジュアルなファッションブランドとして認知させることに成功しています。
また、海外進出の際は現地従業員への理念浸透が大きな課題となります。海外進出で数度の失敗を重ねたUNIQLOは、ブランドストーリーの再構築などを経て、海外においてもユニクロのブランド認知に成功しました。
7-2.株式会社ZOZO
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」で知られる株式会社ZOZOは、社名変更で成功した企業です。元々の社名「株式会社スタートトゥデイ」から、2018年10月1日に現在の社名「株式会社ZOZO」へと変更しました。
株式会社ZOZOが社名変更をした理由は、提供するサービス名よりも社名の認知度が大きく下回っていたためです。広く認知されているサービス名から社名を取った株式会社ZOZOは、サービスを利用する顧客からの社名認知度を高めることに成功しました。
7-3.Apple
MacBookやiPhoneで知られるAppleは、優れたブランド戦略を展開していることで有名な企業です。Appleの商品はシンプルなデザイン性・操作性が重視されており、手に取ったユーザーが直感的に魅力を感じ取れるようになっています。
Appleのブランド戦略が優れている理由は、顧客が何を求めているかの調査を入念に行っているためです。商品に対して顧客が求めるデザインや使用体験を分析し、洗練させて開発に生かすことで顧客満足度が高い商品の提供を実現しています。
まとめ
コーポレートブランディングとは、企業の社会的価値を広く認知させ、ステークホルダーに支持される体制を構築する取り組みです。コーポレートブランドは企業価値を高めるとともに、従業員のモチベーションや対外的な信頼性を向上させるメリットもあります。
コーポレートブランディングを成功させるためには、実施するタイミングの見極めから実施後の浸透度検証まで、6つのステップに沿って行うことが一般的です。紹介したおすすめ会社11選を参考にコンサルティング会社を選び、コーポレートブランディングを成功させましょう。
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