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採用基準の必要性とは?決め方から押さえたいポイント・注意点まで
採用活動を行ってもあまり手応えを感じない場合、「採用基準」が機能していない可能性があります。採用基準を確立したほうがよいと考えていても、採用がうまくいかない原因や解決法が思い当たらず、採用活動の改善が図れずに悩む人も少なくないでしょう。
当記事では、採用基準の必要性や設定方法、決める際のポイントや注意点を解説します。採用基準を確立したい場合や、採用基準の重要性や決め方を考え直す参考にしてください。
1.採用基準の概要と必要性
採用基準とは、「自社にマッチした人材を採用するために必要な評価基準」のことです。採用基準が必要な理由には、次のようなものがあります。
・採用活動の精度をアップするため
採用基準を決めることで、自社に必要な人材の人物像を明確化できます。人物像が明確になると、必要な人材の見落としや採用後の早期離職を防ぎ、自社のニーズにマッチした人材獲得につなげることが可能です。
人事、経営陣など現場以外の担当者が選考に参加する場合にも採用基準を明確化し、現場が求める人物像を共有することで適切な人材を選考しやすくなります。
・採用活動のスピードをアップするため
採用活動はスピードが重要です。早めに判断を下せないと、内定を出す前に優秀な人材が他社に採用されることもあります。採用基準を設けることでスピーディーな判断が下せるようになるため、採用活動に要する時間を短縮し、必要な人材を確保しやすくなります。
1-1.採用基準を見直したほうがいいケース
すでに採用基準を設けている企業でも、既存の基準が現状に沿っているとは限りません。採用にあたって次のような問題が発生している場合は、採用基準を見直したほうがよいでしょう。
・応募者や選考通過者が極端に少ない
応募者や選考通過者が極端に少ない場合、採用基準を必要以上に厳しく設定している可能性があります。応募者に対するスキルの要求や給与などの待遇を適切に設定しましょう。
・現場と人事などの意見が合っていない
現場と人事の間で応募者の評価が極端に食い違う場合は、採用基準に現場の実情が十分に反映されていない可能性があります。認識に差が生じない内容かを精査して、現場と意見を交換しながら再検討しましょう。
・早期離職者が多い
採用基準が自社の実態にマッチしていないと、採用した人材の定着度が低迷し、早期離職を引き起こしやすくなります。自社の実態に即した基準を設定し、より具体的な人材要件を定義するようにしましょう。
2.【STEP別】採用基準の決め方
採用した人材は実際には現場で働くことになるため、採用基準を決める際は現場の声を聞くことが重要です。採用基準の決定にはいくつかのステップがあり、ステップごとにうまく現場の声を取り入れることが必要です。ここでは、採用基準の決め方をステップごとに紹介します。
2-1.【STEP1】必要とする人物像の明確化
採用の前提として、現場で必要とされる人物像を明確にする必要があります。現場で実際に求められるスキルと現場の外から見た印象にはギャップがあることも多く、採用担当同士で共通の認識を持つためには現場の声が重要です。
現場の責任者に加えて、実務に携わっている人物などから必要な人材のイメージをできる限り詳細にヒアリングしましょう。実際の業務に必要なスキルや性格による向き不向きだけでなく、採用目的や背景にも着目してヒアリングすることが大切です。
2-2.【STEP2】コンピテンシー項目の洗い出し
コンピテンシーとは、成果を残す人材が共通して持っている行動特性や思考傾向を指します。表面的なスキルや経験だけを評価して採用すると、求めていた人物像とのミスマッチが起き、早期離職の原因になります。コンピテンシーを活用すると、行動・思考様式からも現場に必要な人物像を割り出すことが可能です。
役割や仕事内容によって、評価されるコンピテンシーは異なります。現場でのヒアリングの結果などを考慮し、幅広い観点から必要なコンピテンシー項目を洗い出しましょう。
2-3.【STEP3】評価項目の設定
現場でのヒアリングとコンピテンシー項目を基に評価項目を設定します。スキルや経験に加えて、コンピテンシー項目を活用して人間性などの内面にも目を向けるとよいでしょう。
やみくもに評価項目を設定すると、採用担当の負担が大きくなります。項目に加えて評価の優先順位を定める、一次面接や二次面接などで評価する項目を分散させるなど、一度に評価すべき項目を絞るように工夫しましょう。評価項目を絞ることで、採用担当の負担を軽減し、公正で正確な選考につなげられます。
2-4.【STEP4】評価基準の設定
評価項目ごとに、具体的な評価基準を設定しましょう。評価基準を設定する際のポイントは、評価の尺度を数値化して明確にすることです。
数値化の方法には、評価を5段階に設定して各段階に「満足」「不満」などの評価を割り振るなどの方法があります。特に面接では面接官個人の主観によって評価がばらつきがちですが、数値化することでばらつきを抑え、組織としてある程度まとまった基準で評価できるようになります。
3.採用基準を決めるときのポイント・注意点
採用基準は、必要な人物像や評価項目、評価基準だけで決定できるものではありません。採用基準を決める際、「とりあえずいい人を採用しよう」と曖昧なイメージで臨むことはおすすめできません。優秀な人材を逃したり、ニーズに合わない人物を採用したりして早期離職を招くなど、採用時のミスマッチにつながるため危険です。
より適切な採用基準を決めるには、いくつか考慮に入れるべきポイントがあります。ここでは採用基準を設定する前に考慮するべきことを、ポイントと注意点に分けて紹介します。
3-1.【ポイント】人材を見極める方法を把握する
評価項目や評価基準とともに、どのような方法で人材を見極めるかを考える必要があります。採用活動において人材を見極める方法には、次のようなものがあります。
・書類選考
書類選考は応募者を絞り込み、以降の採用プロセスをスムーズにするために行われる方法です。書類選考では、基本的な情報やビジネスマナー、文章力を測れます。
・適性検査
適性検査は応募者全員の能力や適性などを数値化するために行われる方法です。適性検査を取り入れる際は目的を明確にし、目的達成に適切な試験を選択することが大切です。
・面接
面接は書面化・数値化が難しい人間性やポテンシャルなどを評価できる方法です。面接の際には、面接官が客観的に評価できるような評価基準を設定する必要があります。
・リファレンスチェック
前職の上司や同僚などに、応募者についてヒアリングする方法です。応募者の評価を知るのに有効ですが、応募者本人の同意が必要です。
3-2.【ポイント】新卒採用と中途採用では重視する基準が異なる
新卒採用と中途採用では、キャリアや経験の有無などに違いがあり、重視する基準を変える必要があります。
新卒採用の場合は社会人経験がないため、能力やスキルで採否を判断できません。新卒はポテンシャルや人間性を評価しましょう。新卒採用で重視される基準には、次のようなものがあります。
- ・コミュニケーション能力
- ・主体性
- ・チャレンジ精神
- ・協調性
- ・誠実性
- ・責任感
中途採用は基本的に経験者採用で、即戦力の獲得が主な目的です。これまでの実績に加えて、仕事上求められる基本的な素養を見て評価しましょう。中途採用で重視される基準には、次のようなものがあります。
- ・これまでの仕事の実績や資格等のスキル
- ・仕事への熱意
- ・社風とのマッチ度
- ・協調性
3-3.【注意点】就職差別にならないよう配慮する
多様性が重視される現在、採用活動の中で就職差別にならないように配慮することは非常に重要です。厚生労働省では、「公正な採用選考の基本」ガイドラインの中で、次の2点を採用選考の基本的な考え方として定めています。
- ・応募者の基本的人権を尊重すること
- ・応募者の適性・能力に基づいて行うこと
採用側の企業は、応募者の適性や能力以外を採否の判断基準にするとガイドラインに抵触する恐れがあります。また、性別や出自、家族など、選考に必要ない情報については情報収集するのも避けましょう。応募者の心や尊厳を傷つけるだけでなく、就職差別を行う会社として誤解を受ける恐れがあります。
まとめ
人材採用は優秀な人材を引き入れられる一方、コストや時間がかかる業務です。採用に失敗すると、人材を得られないばかりか、かけたコストや時間が無意味になります。必要な人材や評価項目、評価基準を明確にし、採用基準を決めることで採用活動を成功に導けるようになります。
自社にマッチした採用基準を決めるには自社や市場の分析が必要ですが、通常業務を行う傍らで取り組むことは難しいため、プロに外注するのも1つの方法です。
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